多くの院長は、周囲から「良い人」と評価される存在です。スタッフや患者に誠実に向き合い、無理な要求にもできる限り応えようとする。その姿勢が、医院の信頼や雰囲気をつくってきたことは間違いありません。
一方で、経営が一定規模を超えた頃から、「なぜか自分だけが苦しい」「頑張っているのに余裕が生まれない」と感じ始める院長も少なくありません。
本記事は、良い人であろうとする姿勢そのものを否定するのではなく、なぜその在り方が経営フェーズによっては負担に変わってしまうのかを構造的に整理し、次の段階に進むための視点を提示することを目的としています。
「良い人」でいるほど医院経営が苦しくなる理由
1.相手を優先する判断が積み重なったとき
良い人である院長ほど、判断の場面で相手を優先します。スタッフの事情、患者の要望、取引先との関係性。どれも無視できず、その都度「今回は自分が引こう」と決めてきたはずです。しかし、この判断が積み重なると、経営の軸が少しずつ揺らいでいきます。
- 例外対応が常態化する
- 判断基準が状況次第になる
- 後から修正しづらくなる
- 不公平感が生まれやすい
善意の判断は短期的には人間関係を守りますが、長期的には経営判断の一貫性を失わせることがあります。
2.嫌われない選択が組織を曖昧にする
「嫌われたくない」「関係を悪くしたくない」という思いは自然な感情です。しかし、良い人であろうとするほど、注意や線引きが遅れやすくなります。その結果、ルールや役割が曖昧になり、組織は“空気”で回る状態になります。
- 注意すべき点を飲み込む
- 判断を先送りする
- 説明が抽象的になる
- 問題が水面下に残る
この状態では、院長の優しさが逆に現場を不安定にします。誰が何を基準に動けばよいのかが分からなくなるからです。
3.「良い人」であることが院長の役割を奪っていく
良い人であり続ける院長ほど、調整役や受け皿になりやすく、本来向き合うべき経営の役割が後回しになります。
現場を守るために動いているつもりでも、気づけば経営判断に使う時間とエネルギーが削られていきます。
この状態は、性格の問題ではありません。組織が拡大する過程で、役割が切り替わっていないことによって生じる構造的なズレです。院長が良い人であろうとするほど、経営者としての役割が空白になりやすくなります。
4.優しさを仕組みに変えられていない
経営が安定している医院では、院長個人の優しさが、仕組みとして翻訳されています。
ルール、評価、判断基準が整っているため、院長が毎回“良い人”として判断しなくても組織が回ります。
一方、それが仕組み化されていない医院では、優しさがすべて院長個人に集中します。
- 判断が属人化する
- 院長の負担が減らない
- 組織が成長しにくい
- 院長が疲弊しやすい
優しさを手放すのではなく、優しさを仕組みに移すことが、次の経営段階への鍵になります。

まとめ
良い人であることは、医院経営において大きな強みです。しかし、経営フェーズが進むにつれて、その強みがそのまま負担に変わってしまうことがあります。
相手を優先し続ける判断、嫌われない選択、調整役としての立ち回りが重なることで、院長自身の役割が曖昧になっていくからです。
重要なのは、良い人であることをやめることではありません。院長個人の善意や優しさを、ルールや仕組みとして組織に移していくことです。判断基準を明確にし、線引きを仕組みで支えることで、院長は一人で背負わずに済むようになります。
良い人であり続けたい院長だからこそ、経営者としての役割を意識的に引き受ける必要があります。
その切り替えができたとき、医院は安定し、院長自身の負担も確実に軽くなっていきます。
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