「うちは患者さんとの関係も良いので、満足度は高いと思います」
「特にクレームもないから、患者さんは満足してくれているでしょう」
このように、日々の患者さんの様子から満足度を判断している医療機関は少なくありません。
もちろん、患者さんとの会話や表情から感じ取れることも大切です。しかし、それだけで患者満足度を正しく把握できているとは限りません。
不満があっても直接伝えない患者さんもいれば、何も言わずに次回から来院しなくなる患者さんもいます。また、院長やスタッフが「評価されている」と思っている部分と、患者さんが実際に評価している部分が違うこともあります。
今回は、患者満足度を「なんとなく」で判断してはいけない理由について考えてみましょう。
患者満足度を「なんとなく」で判断してはいけない理由
クレームがない=満足しているとは限らない
患者さんから不満を言われないことを、満足度の高さと考えるのは注意が必要です。
- 不満を直接伝える患者さんばかりではない
- 何も言わずに離れる患者さんもいる
- 小さな不満は表面化しにくい
- クレーム件数だけで満足度を判断しない
待ち時間が長かった、説明が分かりにくかった、スタッフの対応が気になったとしても、すべての患者さんがその場で伝えてくれるわけではありません。「わざわざ言うほどではない」と考え、そのまま帰る患者さんもいます。
クレームは重要な情報ですが、それだけを患者満足度の判断材料にすることはできません。
声を掛けてくれる患者さんだけを見ない
院長やスタッフとよく話す患者さんからは、さまざまな感想を聞くことができます。
- よく話す患者さんの意見だけで判断しない
- 年代や来院目的の違いにも目を向ける
- 意見を言わない患者さんの声も集める
- 一部の患者さんの評価を全体と考えない
「先生にはいつも感謝しています」「スタッフの皆さんが親切ですね」といった言葉は嬉しいものです。しかし、こうした声を直接伝えてくれる患者さんは全体の一部です。普段あまり話さない患者さんがどのように感じているのかは、日常会話だけでは把握できません。
患者満足度を考えるときには、声の大きな一部の患者さんだけでなく、幅広く意見を集めることが重要です。
医院側の評価と患者さんの評価は違うことがある
医院側が「ここは当院の強みだ」と考えていることを、患者さんも同じように評価しているとは限りません。
例えば、新しい医療機器を導入し、高度な医療を提供していることに自信を持っていても、患者さんは「説明が分かりやすかった」「待ち時間が短かった」「スタッフが話をよく聞いてくれた」といった部分を高く評価しているかもしれません。
反対に、医院側では問題ないと思っていた受付対応や予約の取りやすさが、患者さんにとっては不満になっていることもあります。
こうした認識の違いは、医院側だけで考えていてもなかなか気付けません。
患者満足度を測定する意味は、単に「満足している人が何%いるか」を知ることだけではありません。医院が考えている強みや課題と、患者さんが実際に感じていることのズレを発見することにもあるのです。
定期的に測定すると変化が見えてくる
患者満足度は、一度調査すれば終わりではありません。
- 同じ項目を継続して測定する
- 前回の結果と比較する
- 評価が変化した項目を確認する
- 改善後の効果を測定する
例えば、待ち時間への評価が低かったため予約の取り方を見直したのであれば、その後に患者さんの評価がどう変わったのかを確認する必要があります。改善したつもりでも、患者さんの評価が変わっていなければ別の原因があるのかもしれません。
継続的に測定することで、感覚では分からない変化を把握し、次の改善につなげることができます。

まとめ
患者満足度は、患者さんの表情や日常会話、クレームの有無だけで正確に判断できるものではありません。
特に注意したいのは、院長やスタッフとよく話す患者さんの声を、患者全体の評価だと考えてしまうことです。普段意見を言わない患者さんも含めて幅広く声を集めることで、初めて見えてくる課題があります。
また、患者満足度を測定する目的は、高い・低いを確認することだけではありません。結果から課題を見つけ、改善し、その後の変化を再び確認することに意味があります。
「患者さんは満足していると思う」から、「患者さんがどう感じているかを確認している」へ変えることが、患者視点の医院づくりにつながります。
一度、患者満足度を何を根拠に判断しているか振り返ってみてください。それは患者さんの声でしょうか、それとも医院側の感覚でしょうか?
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