医院に新しいスタッフが入職したとき、意外と難しいのがスタッフ同士の関係性です。
例えば、こんなケースがあります。
「年齢は自分より上だけれど、医療業界では自分の方が長い」
「業界経験は豊富だけれど、この医院では自分の方が先輩」
「年下だけれど役職は上」
「同じ職種では後輩だけれど、社会人経験は長い」
一般企業でも年齢と社歴が逆転することはありますが、中途採用や経験者採用の多い医院では、こうした関係がより複雑になりやすいものです。
では、スタッフ間では年齢、業界歴、入職歴のどれを基準に関係性をつくればよいのでしょうか。
今回は、スタッフ同士が余計な上下関係に振り回されず、働きやすい関係をつくるための考え方について解説します。
スタッフ間では業界歴?入職歴?年齢?どう関係性をつくる?
年齢だけで上下関係を決めない
年齢は分かりやすい基準ですが、仕事上の役割とは必ずしも一致しません。
- 年上だから仕事上も上とは限らない
- 年下でも経験豊富な場合がある
- 年齢と役職は分けて考える
- 年齢にかかわらず礼節を持って接する
例えば、40歳の新人スタッフと30歳のリーダーが一緒に働くこともあります。この場合、「年上だから指示しにくい」「年下から言われたくない」という関係になってしまえば、業務に支障が出ます。
年齢への敬意は必要ですが、それを仕事上の指揮命令関係と混同しないことが重要です。
業界歴が長いことと「この医院を知っていること」は別
経験者採用では、前職までの経験年数も関係性を複雑にします。
「私はこの仕事を15年やっています」
というスタッフが入職すれば、周囲も経験者として扱うでしょう。
しかし、業界経験が長くても、その医院の方針、業務手順、患者対応、院内ルールまで知っているわけではありません。
一方、その医院で5年間勤務しているスタッフは、業界歴では短くても院内の仕事については詳しいことがあります。
経験者はこれまでの知識や技術を活かしながら、新しい医院のやり方を学ぶ。既存スタッフは自院のやり方を伝えながら、経験者が持っている知識から学ぶ。
「どちらが上か」を決めるのではなく、お互いが持っている経験の違いを活かすことが大切です。
入職歴だけで先輩・後輩を固定しない
「私の方がこの医院に先に入ったから先輩」
入職歴は、院内の仕事を教える場面では一つの基準になります。
しかし、入職が数か月早いだけで強い上下関係が生まれてしまうと、組織としては問題があります。
特に、新しく入ったスタッフが豊富な経験や専門知識を持っている場合、「新人だから」と意見を聞かないのは医院にとっても損失です。
反対に、経験者として入職したスタッフが「自分の方が経験が長いから」と、それまで医院で働いてきたスタッフの話を聞かないことも適切ではありません。
入職歴は「その医院について誰が詳しいか」という一つの目安にはなりますが、人としての上下関係を決めるものではありません。
基準にするべきなのは「役割と責任」
年齢、業界歴、入職歴のどれか一つで上下関係を決めようとすると、どうしても矛盾が生まれます。
そこで仕事上の関係では、
年齢ではなく役割
経験年数ではなく担当
入職順ではなく責任
を基準に考えます。
リーダーが年下であっても、その業務について指示を出す役割ならスタッフはその指示に従う。経験豊富なスタッフであっても、新しい医院のルールについては既存スタッフから教えてもらう。
そして、専門的な知識については経験のあるスタッフから学ぶ。
このように、「誰が偉いか」ではなく、その場面では誰にどのような役割と責任があるのかを明確にした方が、スタッフ同士の関係は整理しやすくなります。

まとめ
医院では、年齢、業界歴、入職歴が一致しないことは珍しくありません。
そのため、「年上だから」「経験が長いから」「先に入職したから」という一つの基準だけでスタッフ間の上下関係をつくると、かえって人間関係が複雑になります。
年齢に対しては社会人としての礼節を持つ。業界経験については、その知識や技術を尊重する。入職歴については、その医院を知っている経験として尊重する。
そのうえで、仕事上の指示や判断については、役職や担当、責任の所在を基準にします。
年齢、業界歴、入職歴は「どちらが上か」を決めるためのものではなく、お互いが持っている経験の違いとして尊重する。そして仕事上は「役割と責任」で関係性を整理することが、働きやすい組織づくりにつながります。
一度、自院のスタッフ間の関係を振り返ってみてください。「先輩だから」「年上だから」という曖昧な上下関係ではなく、仕事上の役割と責任が明確になっていますか?
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