マスクが日常となった今、医療機関で患者さんが受け取る印象の多くは「目元」で決まります。口元が隠れることで、表情は目の動き・まぶたの開き・眉の角度・視線の柔らかさといった“目周りの情報”に大きく依存するようになりました。
同じ言葉でも、目元の表情が硬ければ冷たく感じ、柔らかければ安心感が生まれます。患者さんの不安や緊張が強まりやすい医療現場では、目元の表情は接遇の中でも最重要の非言語要素です。
今回は、マスク時代に欠かせない「目元の表現技術」について整理します。
マスク時代の“目元の表情”が患者満足度を左右する
目元は「医院の印象」をつくる最大の要素
マスクで口が隠れることで、患者さんがキャッチする情報の8〜9割が目元に集中します。目を少しだけ細めるだけでも印象が変わり、逆に目を大きく見開いたり、眉間に力が入ったままだと、無意識のうちに“怒っている”“怖い”と誤解されることがあります。特に受付・会計・案内といった対面が多い場面では、目元から受ける印象が患者満足度に直結します。
● まぶたを少し下げるだけで柔らかさが出る
● 眉間のしわは「不機嫌」と誤解されやすい
● 目線の上下で“優しさ” と “冷たさ” が変わる
● 緊張時は瞬きが減り“睨んでいる”印象になる
● マスク越しの目元は感情をそのまま伝えやすい
目元が柔らかいだけで患者さんの警戒心は驚くほど下がります。
マスク越しの“アイスマイル”を身につける
“アイスマイル”とは、目元だけで笑っているように見せる技術です。マスクが必須の医療現場では、このアイスマイルが自然な接遇の基礎になります。笑顔が苦手なスタッフでも実践しやすく、患者さんにとっても「安心できる方だ」と感じるきっかけになります。
● 目尻をわずかに下げる意識を持つ
● 眉の力を抜くだけで穏やかさが出る
● 目を細めすぎない自然なバランスが大切
● 相手が話すタイミングで“優しい目元”を向ける
● 目だけで「聞いていますよ」を伝える
練習回数を重ねるほど、自然な柔らかさが定着します。
目元の動きが“安心の距離感”を作る
目元は、距離感の調整にも役立ちます。患者さんが緊張している場面では、視線をほんの少し外したり、斜めから目を合わせると話しやすくなります。一方、説明や確認が必要なときには、適度にしっかりと目を合わせることで安心感が生まれます。
目元の角度・視線の高さ・合わせる時間はすべて、患者さんの心理状態を読み取る“接遇の調整スイッチ”です。丁寧な距離感をつくるため、状況ごとに目元を使い分ける意識が大切です。
院内で共有したい「マスク下でも伝わる接遇」
目元の表情を統一していくと、医院全体が“優しい空気”に変わります。スタッフ同士で確認し合い、「柔らかい目元」を医院の文化として育てていくことが重要です。
● 朝礼で「目元チェック」を行う
● マスク越しでも感情が伝わる表情練習を習慣化
● 眉間の緊張・視線の角度などをお互いに声掛け
● 目線の高さを患者さんに合わせる
● スタッフ全員で“アイスマイル”を共通言語にする
マスク時代だからこそ、「表情の丁寧さ」が医院の差別化ポイントになります。
目元の接遇が整うだけで、医院の“雰囲気の良さ”は一気に向上します。

まとめ
マスクが必須の現在、患者さんはスタッフの目元の情報から医院の印象を受け取り、安心感のほとんどを視線や表情の動きから判断しています。目元を柔らかく保つだけで、冷たさは消え、信頼感が生まれます。“アイスマイル”を身につけ、視線を丁寧に扱うことで、患者さんは「この医院は優しい」と感じ、満足度も高まります。
マスク時代だからこそ、目元の接遇は医院の大切な強みとなるのです。
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