スタッフに対してのノルマや報奨金④|院長・リーダーが取るべきスタンスとは

ノルマや報奨金の功罪、健全な目標管理の方法についてこれまで解説してきました。

最終回となる今回は、それらを活かすも殺すも決める「院長・リーダーのスタンス」に焦点を当てます。どんなに仕組みを整えても、トップの姿勢が誤っていれば、現場には不信感が広がり、制度は形骸化してしまいます。

逆に、リーダーが正しい姿勢を持っていれば、スタッフは安心して前向きに取り組むことができます。


目次

1. 数字に支配されない姿勢を示す

院長が「数字ばかり」にこだわると、スタッフもそれに追随してしまいます。もちろん経営には数字が不可欠ですが、それ以上に大切なのは「数字の背景にある患者さんの満足やスタッフの努力」を見ることです。

たとえば、ある月に自費検査件数が伸びなかったとしても、スタッフが説明手順を改善し、理解度が高まっていたのなら、それは大きな成果です。その努力を認める姿勢があれば、スタッフは「結果がすぐに出なくても、やる意味がある」と感じ、安心して取り組みを続けられます。


2. 公平性と納得感を重視する

報奨金や目標制度を導入する際、スタッフが最も敏感に感じ取るのは「公平性」です。ある人だけが得をしている、評価基準が曖昧――そんな状況では、不満が一気に広がります。

リーダーが取るべきは、常に「透明性のある説明」です。

これらを明確に伝えることで、納得感が生まれます。公平性の土台を築くのは、リーダーの言葉と行動です。


3. 成果だけでなくプロセスを称える

スタッフは結果で評価されるのも大事ですが、「努力が認められている」という実感があるとモチベーションが長続きします。リーダーが「結果だけ」ではなく「プロセス」も見ていると伝わることで、スタッフは安心して挑戦できます。

こうしたプロセスをリーダーが称えることが、組織文化を前向きに変えていきます


4. 失敗を責めず、学びに変える

スタッフがチャレンジした結果、数字に結びつかなかったり失敗したりすることは当然あります。そのときにリーダーが「なぜできなかったのか」と責めてしまうと、挑戦そのものを避ける空気が広がります。

大切なのは「なぜ失敗したのか」を冷静に分析し、次の改善策へとつなげる姿勢です。スタッフが「失敗しても学びになる」と感じられる環境を作るのは、院長・リーダーの責任です。


5. 自らが模範を示す

どんなに制度を整えても、リーダー自身が数字に追われて感情的になったり、根拠のない判断を下したりすれば、スタッフはついてきません。論理的思考や健全な目標管理を組織に根付かせるには、リーダーがまず実践者になることが必要です。

リーダーがこうした姿勢を一貫して示すことで、スタッフは安心して同じ価値観を共有できます。

6. 報奨金を望むスタッフに対して

スタッフの中には「もっと頑張った分をお金で評価してほしい」と思う人もいます。その気持ちは自然なことですし、努力が報われたいという欲求は決して否定すべきではありません。

大切なのは、その声をどう受け止めるかです。頭ごなしに否定すると不満が残りますし、安易に取り入れると組織が数字偏重になってしまいます。リーダーとしては次のような姿勢が望ましいでしょう。

報奨金を求める声の裏には「評価されたい」「頑張りを見てほしい」という本音が隠れています。その思いを正しく受け止め、金銭以外の方法で満たせるように工夫することが、健全な組織づくりにつながります。


ノルマや報奨金は便利な仕組みですが、使い方を誤るとスタッフのやる気を奪い、患者さんとの信頼関係を損ねてしまいます。

健全な目標管理を実現するには、制度そのものよりも、院長・リーダーの姿勢が決定的に重要です。数字に支配されず、公平性を重んじ、プロセスを認め、失敗を学びに変え、自ら模範を示す。このスタンスこそが、クリニック全体の健全な成長を支える土台になります。

全4回にわたる本シリーズで、ノルマ・報奨金・目標管理の在り方を整理しました。ぜひ自院の経営に置き換えて考え、スタッフが前向きに働き、患者さんに信頼される組織づくりに活かしてください。

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