~“学生”から“社会人”への第一歩をどう支えるか~
新社会人を採用し、チームに迎え入れるということ
医療機関の「教育係」には、特別な責任がある
春になると、新卒採用でフレッシュな人材がチームに加わります。
医療機関にとっては嬉しいことですが、同時に教育係やリーダーにとっては大きな責任と期待を伴う季節でもあります。
特に近年は、社会経験ゼロの“学生”が、突然“医療人”として患者様と接することになるケースも珍しくありません。
「なぜこんなこともわからないのか?」と思う前に、私たち大人の側が「どう導くか」を考える必要があります。
学生と社会人の間にある“文化の壁”
新卒スタッフが入ってすぐにぶつかるのが、挨拶・敬語・言葉遣い・時間感覚など、
いわゆる「社会人としての基本動作」です。
たとえば、
- 挨拶の声が小さい/そもそも言わない
- 「了解です」「〇〇っすね」といった学生口調
- 電話や患者応対に緊張し過ぎてうまく話せない
といったシーンは、どの医療機関でもよく見られます。
しかしこれは、本人が怠けているのではなく、経験値が不足しているだけ。
学生時代はそうした“社会的ふるまい”を学ぶ場が少ないため、
むしろ「知らないことを教える」のが前提だと考えることが重要です。
「怒らず、放置せず、丁寧に」が基本
新人教育で大切なのは、“わかっている前提”で接しないことです。
一つひとつ丁寧に、「なぜそれが大事なのか」まで伝えることで、納得と行動が結びつきやすくなります。
たとえば、
- なぜ挨拶が大切なのか
- なぜ言葉づかいが患者満足につながるのか
- なぜ時間を守ることが信頼につながるのか
これらを単なる“マナー”として押しつけるのではなく、プロとしての考え方として伝えることで、相手の成長スピードは変わります。
また、失敗やミスがあったときに感情的に叱るのではなく、
「まず理由を聞いてみる」「本人の気づきを促す」姿勢も大切です。
「ロールモデル」としてのスタッフの存在
新人が社会人としての基本を学ぶうえで、最も大きな影響を与えるのが、日々一緒に働く先輩スタッフの姿勢や言動です。
いくらマニュアルや研修が整っていても、
現場で接するスタッフが雑な言葉を使っていれば、それが“正解”として刷り込まれてしまいます。
だからこそ、教育係やリーダーには
「自分の言動が手本になっている」という自覚が求められます。
もちろん完璧である必要はありません。
むしろ新人に対して「私も最初は苦労したよ」と共感しつつ、
一緒に成長するスタンスを見せることで、信頼される教育者像がつくられていきます。
「慣れるまで待つ」のではなく「成長を支える」
「社会に出たばかりなのだから、そのうち慣れるだろう」と放置してしまうと、
新人は不安を抱えたまま、表面的な対応だけで時間を過ごしてしまいます。
とくに医療現場は患者様対応が中心になるため、
“なんとなくこなす”ことが許されない環境でもあります。
だからこそ、
- 定期的なフィードバック
- ミニ面談による声かけ
- チェックシートなどでの進捗確認
など、構造的なサポート体制が重要です。
教育係・リーダーも「育つ」チャンスに
新人指導は、実はスタッフ側の成長にもつながります。
- どう伝えれば相手に伝わるか
- 自分の対応は見本になっているか
- なぜこの仕事が大切かを改めて考える
といった視点が養われることで、院内の育成文化が強化されるのです。
院長や経営層にとっては、教育係・リーダー層の成長が、
そのまま組織力の底上げにつながるという意義もあります。

まとめ:教育の目的は、即戦力より“人づくり”
新卒スタッフを迎えるということは、
単なるマンパワーの補強ではなく、「人として育てる責任」を共有することでもあります。
医療現場にふさわしい言葉遣いや態度を少しずつ教え、
安心して質問できる関係をつくりながら、長くチームの一員として成長を支えていく。
それが、院長・リーダー・教育係に求められる役割です。
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