【第5回】評価指標(KPI)の設定とその考え方

はじめに

バランススコアカード(BSC)の戦略マップが完成したら、次は各戦略課題に対して「何をもって達成とみなすか?」を明確にする段階です。
その指標となるのがKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)です。

KPIは、戦略の実行度を「見える化」する道具であり、スタッフの行動を「成果」へと導くコンパスのような存在です。


目次

KPIとは、組織の目標に対して進捗や達成度を測るための定量的な指標です。

たとえば、

これらの数値をもとに、「いま自院が戦略に沿って動いているかどうか」を定期的にチェックします。
つまり、KPIとは「進んでいるかどうかを教えてくれる距離計」なのです。


KPIが曖昧だと行動がぶれる

戦略課題が明確であっても、そこに対するKPIが適切でなければ、行動はバラつきます。

たとえば、「患者満足度を向上させたい」という目標があったとしても、

  • 何をもって「満足した」と判断するのか?
  • そのためにどんな数値を追うのか?

これが決まっていないと、スタッフによって意識や優先度に差が出てしまいます。
逆に、KPIが定まっていれば、どの行動が結果に直結するかが分かり、現場での意思決定がスムーズになります。


良いKPIを設定するポイント

KPIは「測定可能」で「具体的」である必要があります。
理想は、以下のような条件を満たすことです。

要素内容
定量性数値で測れる(%や回数、金額など)
現実性実際に測定・集計が可能
関連性戦略課題との因果関係がある
行動性指標がスタッフの行動と結びついている

たとえば、「理念の浸透」という曖昧な課題に対しては、「月1回の理念研修実施率」や「スタッフアンケートでの理念理解度スコア」などを指標にすることで、行動と結果をつなぐことができます。


KPIは“管理”ではなく“対話”のためのツール

KPIというと、「管理」「監視」「評価」というネガティブな印象を持つ方もいます。
しかし、本質はそうではありません。

KPIはあくまで「今の取り組みがうまくいっているかどうか」を確認するための道しるべです。
数値が良ければ称賛を、悪ければ要因をチームで話し合い、改善につなげる“対話のきっかけ”にすることが目的です。


現場スタッフにも伝わる指標にする

院長や経営層だけが理解していても意味がありません。
KPIは「全スタッフが見てわかる」「自分ごととして理解できる」ものである必要があります。

そのためには、

  • 難しい経営用語は避ける
  • 数字の意味を説明する
  • KPIを毎月の朝礼などで見える化・共有する

といった工夫が重要です。


KPIは単なる数値の羅列ではなく、戦略を実行し成果へ導く“羅針盤”です。

数字は「人の行動の結果」です。
だからこそ、その動きが正しかったかどうか、次にどう修正するかを教えてくれるヒントになります。

次回は、このKPIをもとに、より具体的な「目標数値」と「アクションプラン」をどう設計するかをご紹介します。


次回予告

次回【第6回】では、今回設定したKPIに基づいて、どのように「目標数値」を定めるか、また、目標を達成するための「アクションプラン」をどのように設計するかについて詳しく解説します。
戦略が行動へとつながる“最後の一歩”を、実例を交えてご紹介していきます。

▶ 続いて【第6回:目標数値とアクションプランの作成】を見る
▶ 一度、【第4回:BSC(バランススコアカード)による戦略課題の抽出と戦略マップの作成】に戻る

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