論理的思考をクリニック経営に取り入れるには、考え方の土台となる「フレームワーク」を知り、使いこなすことが重要です。
フレームワークとは、情報を整理し、問題を分解し、解決策を導くための型や枠組みのことです。
医療現場や経営判断では、日々複雑な課題が発生しますが、フレームワークを活用すれば混乱せず筋道立てて考えることができます。
今回は、特にクリニック経営で使いやすい3つの基本フレームワークをご紹介します。
ロジカルシンキングの基本フレームワーク
MECE(漏れなく・ダブりなく)
MECE(ミーシー・Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)は、情報や項目を重複なく、かつ抜け漏れなく整理する考え方です。
例えば、患者さんの来院減少の原因を探るとき、「立地」「サービス」「価格」「プロモーション」などの観点に分ければ、重複せず網羅的に整理できます。
この方法を使うと、見落としを防ぎ、分析の精度が高まります。
ロジックツリー(問題分解)

ロジックツリーは、ある課題や目標を枝分かれのように分解して原因や要素を明らかにする手法です。
例えば、診療報酬の低下という課題を「患者数減少」「単価低下」に分け、さらに「患者数減少」を「新患減」「既存患者さんの離脱」に分解すると、具体的な改善策を考えやすくなります。
この分解の過程で、何が本質的な問題なのかが見えてきます。
仮説思考
仮説思考は、限られた情報の中でまず仮説を立て、それを検証しながら結論に近づく方法です。
医療経営では、すべての情報を集めてから動くとタイミングを逃すことがあります。
仮説思考なら、「患者さんの離脱率が上がったのは待ち時間の増加ではないか」といった予想を立て、小規模なアンケートや時間測定で素早く検証できます。
これにより、問題解決のスピードが格段に上がります。
クリニック経営での活用例
これらのフレームワークは単独でも効果がありますが、組み合わせて使うことでより強力になります。
例えば、患者さんの来院数減少を
- MECEで原因を網羅的に洗い出す
- ロジックツリーで原因を細かく分解する
- 仮説思考で最も有力な原因から検証する
といった流れにすれば、短期間で改善の糸口を見つけられます。
論理的思考とBSCの共通点
これらのフレームワークの本質は、「情報を整理し、抜け漏れなく考える」ことにあります。これはBSCの考え方と非常に似ています。
BSCも、財務・患者さん(顧客)・業務プロセス・学習と成長という4つの視点から経営を整理する仕組みであり、MECEの発想に通じます。
論理的思考をフレームワークで習慣化しておくことで、BSC導入後もスムーズに運用できるようになります。
▶BSC(バランススコアカード)については、こちらのまとめからご覧ください。

まとめ
論理的思考を日常業務で活かすには、感覚だけでなく、フレームワークという「型」に沿って考える習慣を持つことが大切です。
MECEで抜け漏れを防ぎ、ロジックツリーで原因を分解し、仮説思考で素早く検証する。この3つはクリニック経営での課題解決に直結します。
次回は、これらの考え方を実際の診療や経営判断にどう活用するか、具体的な事例をご紹介します。
【無料】75%公開版チェックリストをご提供中
今回の連載では、論理的思考を経営に根付かせる方法を解説しています。
次のステップとして、BSCを導入するための「75%公開版チェックリスト」を無料でご提供しています。
経営課題の整理やスタッフとの共有、導入検討の土台づくりにご活用ください。
ご希望の方は、下記より資料請求または無料相談にお進みください。
▶BSC(バランススコアカード)については、こちらのまとめからご覧ください。
▶ 「経営戦略」カテゴリの関連記事を探す
▶ カテゴリ検索・人気記事などコラムのトップへ戻る
グロースビジョンでは読み物として得た知見を、実際の医院改善に活かすための【無料ツール・サポート】をご用意しています。
先生の大切な1歩を支援します。お気軽にどうぞ。
接遇5原則チェックシート
接遇の基準をシンプルに可視化。
院内研修や個別指導に活用
満足度調査ツール 半年無料
満足度と改善点を数値化できる
E-Pサーベイが半年無料
BSCチェックリスト
医業収入UPの戦略マップづくりに
無料でも75%公開してます