スタッフに対してのノルマや報奨金➀|ノルマは必要か?その功罪を考える

クリニック経営において、スタッフの行動や成果をどう管理するかは大きなテーマです。

その中でしばしば話題に上がるのが「ノルマ」と「目標」です。両者は似ているようで性質が異なり、その捉え方を誤るとスタッフのモチベーションや組織全体の風土に影響します

本記事では、ノルマと目標の違いを整理し、医療現場に適した取り組み方を考えていきます。


目次

ノルマの功罪

ノルマとは、強制的に達成すべき数字を意味します。

営業職や販売業では一般的ですが、医療機関で導入するとどうなるでしょうか。
例えば「自費検査を必ず月10件」というノルマを課した場合、一時的には件数が伸びるかもしれません。しかし、スタッフの心理的プレッシャーや患者さんへの押しつけ感を生み、信頼を損なうリスクがあります。ノルマの最大の問題は、「数値達成が目的化」してしまい、患者さん本位の姿勢が後退する点にあります。

一方で、一定の基準を示すことで「どの程度努力すべきか」が明確になる効果もあります。つまり、ノルマは行動の方向性を示す参考値にはなり得るのです。しかし、それをそのまま「必達ライン」に設定することには注意が必要です。


目標の位置づけ

目標は、組織や個人の成長を促す方向性を示すものです。

ノルマのような強制力ではなく、「こうなっていきたい」という未来像を共有することに意味があります。例えば「患者さんへの説明を標準化し、必要性を理解してもらえる体制をつくる」という目標を設定すると、スタッフは自分の行動を前向きに工夫しやすくなります。

ただし、目標を単に「方向性」として曖昧に置いてしまうと実効性に欠けます。ここで重要なのが計測可能性(メジャラブル)です。つまり、目標には「数値で振り返り可能な形」を持たせることが必要です。


ノルマと目標の違いを整理

例えば:

  • ノルマ的な表現:「自費検査を必ず月10件」
  • 適切な目標設定:「標準化した説明を導入し、患者さんの自費検査受診率を◯%から◯%に改善する」

これなら「行動の方向性(説明を標準化する)」と「計測可能性(受診率改善)」がセットになり、スタッフが数字に追われるのではなく、成長を実感できる指標になります。


医療現場での適用ポイント

医療機関でノルマや目標を考える際には、次の観点が大切です。

このような仕組みであれば、ノルマ的な息苦しさを避けつつ、目標を「やりがい」につなげられます



ノルマと目標は似て非なるものです。

ノルマは強制力が強く、短期的には効果を生みやすい一方で、長期的には不満や不信感を育てかねません。

目標は組織や個人の成長を促す方向性を持ち、特に計測可能な数値を含めることで実効性を発揮します。クリニックにおいては、ノルマではなく「数値で検証できる目標」を掲げることで、スタッフが前向きに取り組みやすくなり、結果的に患者さんへの価値提供にもつながります。

次回は「報奨金制度の考え方」について取り上げます。
一見モチベーションを高めるように見える報奨金が、なぜ組織に思わぬ影響を与えるのか。メリットとデメリットを整理し、クリニックに合った活用方法を考えていきます。

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