自由記述は、患者満足度調査の中で最も価値のある情報源です。
しかし実際には、「特にありません」「満足しています」といった回答ばかりが並び、活用できていない医院も少なくありません。その原因は、患者さんの意欲や協力姿勢ではなく、設問の置き方にあります。
自由記述は、設問次第で「感想欄」にも「改善のヒント」にも変わります。
本記事は、自由記述を活かすために必要な設問設計の考え方を整理し、なぜ書かれないのか、どう置けば意味のある情報が集まるのかを解説します。
自由記述を活かすための設問の置き方
1.自由記述が集まらない設問の共通点
自由記述が機能していない調査には、共通する設問の特徴があります。それは、患者さんにとって「何を書けばよいか分からない」状態を作ってしまっていることです。
- 「ご意見・ご感想があればお書きください」
- 「お気づきの点があれば自由にお書きください」
- 設問の意図が見えない
- 書いても何に使われるか分からない
このような設問では、患者さんは書く理由を見いだせません。結果として、無難な一言や空欄が増えます。自由記述が集まらないのは、患者さんが非協力的なのではなく、設問が曖昧すぎるからです。
2.自由記述は「行動」とセットで設計する
自由記述を活かすためには、前提として「改善したい行動」が定まっている必要があります。行動が決まっていない自由記述は、感想の寄せ集めに終わります。
- 次回予約を迷わせている理由を知りたい
- 説明時に質問が出ない原因を知りたい
- 会計後に不安が残る理由を知りたい
- 待ち時間への違和感の正体を知りたい
このように、知りたい行動の背景が明確になると、自由記述の役割も定まります。自由記述は、数値では分からない「なぜそう感じたのか」を補完するための設問です。
3.書いてほしい内容を具体的に示す
自由記述は「自由」に書かせるものではありません。活かせる自由記述ほど、実は誘導されています。重要なのは、書いてほしい視点を明示することです。
例えば、
- 「次回予約を迷った理由があれば教えてください」
- 「説明で分かりにくかった点があれば具体的に教えてください」
- 「帰宅後に不安に感じたことがあれば教えてください」
このように聞かれると、患者さんは思い出しやすくなります。何を書くかが明確になることで、具体的な行動や場面が言葉として出てきます。自由記述は、問いを具体化するほど情報の精度が上がります。
4.自由記述は「最後」に置いてはいけない
多くの調査では、自由記述は最後に配置されます。しかし、これも活用できなくなる原因の一つです。質問に答え続けた後では、患者さんは疲れてしまい、自由記述までエネルギーが残りません。
- 関連する数値設問の直後に置く
- 特定の体験を思い出した直後に置く
- 1つのテーマにつき1つだけ置く
- 書く負担を最小限にする
このように配置を工夫することで、自由記述は「ついで」ではなく、「補足情報」として機能します。置き方ひとつで、自由記述の質は大きく変わります。

まとめ
自由記述を活かすために必要なのは、患者さんの熱意ではなく、設問の設計です。曖昧な聞き方では感想しか集まらず、改善につながる情報は得られません。
自由記述は、改善したい行動とセットで設計し、書いてほしい内容を具体的に示すことで初めて機能します。また、配置の工夫によって回答の質と量は大きく変わります。数値では見えない理由や背景を補完するのが、自由記述の本来の役割です。
自由記述を「おまけの欄」ではなく、改善のための重要な設問として扱うことで、満足度調査は次のアクションにつながる情報源になります。
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