患者さんとの信頼関係を築く上で、「言葉」は確かに大切なツールです。
しかし実は、言葉以上に強く印象を残すのが「非言語コミュニケーション」です。
受付での第一印象、診療室での何気ない仕草、スタッフ同士の雰囲気など、言葉にしなくても患者さんは多くのことを“感じ取って”います。
今回は、特に受付スタッフや院内スタッフが意識したい「非言語コミュニケーション」について、実践的な視点から整理してみましょう。
言葉にしなくても伝わっている:非言語コミュニケーションの力と磨き方
1. 非言語コミュニケーションとは何か?
非言語コミュニケーションとは、「言葉以外で相手に影響を与えるすべての要素」を指します。
代表的なものには以下のようなものがあります。
- 表情(目線・笑顔・無表情)
- 声のトーンや速さ
- 姿勢・立ち方・お辞儀の仕方
- 動作の丁寧さ
- 距離感や間の取り方
- 身だしなみ・清潔感
- 空間の雰囲気(BGM、香り、照明など)
これらは、患者さんに安心感や信頼感を与える一方で、逆に不安や不信感を生むこともあります。
2. 第一印象は「無意識のうちに」決まっている
人は出会ってから数秒で相手の印象を決めてしまうといわれています。
特に受付では、患者さんが院内に入って最初に出会う存在であるため、その対応が医院全体の印象を左右します。
たとえば、以下のような場面を想像してみてください:
- 受付スタッフがパソコン画面を見たまま「こんにちは~」とつぶやく
- 呼ばれて診察室に入ると、無表情のスタッフが指で席を指すだけ
- 会計時、無言でお金を受け取り、目も合わせない
これらはすべて、患者さんに「歓迎されていない」「流れ作業のよう」といった印象を与えます。
逆に、笑顔で目を見て挨拶し、軽く会釈を加えるだけで、相手の心は緩みます。
非言語こそが“無言の接遇”であり、医院の信頼を形づくっているのです。
3. 院長・リーダーが意識すべき「3つの視点」
非言語コミュニケーションは属人的になりやすいため、組織として共有しなければ品質がばらつきます。
リーダーとして次の3つの視点を持って関わることが重要です。
(1) 自分自身がモデルとなる
院長自身が無表情でぶっきらぼうに振る舞っていては、スタッフもそのようになります。
リーダーこそが日々「背中で語る」存在として、非言語の大切さを体現する必要があります。
(2) 具体的な基準を共有する
「丁寧にしよう」「感じよく」は抽象的で、人によって基準が異なります。
「患者さんが来たら3秒以内に目を見て挨拶」「診療中は1メートル以内に入るときは軽く声をかける」など、具体的な行動指針にして共有しましょう。
(3) 定期的に“見える化”する
スタッフ同士でロールプレイを行ったり、院長や外部講師がフィードバックしたりといった「見える化」が大切です。
できていないスタッフを責めるのではなく、改善に向けた共通の目標を持つ場にすることがポイントです。
4. 非言語コミュニケーションのトレーニング方法
非言語の力を伸ばすには、意識的なトレーニングが有効です。
以下に、医院でもすぐに取り入れられる方法をご紹介します。
(1) 表情トレーニング
- 鏡の前で笑顔をつくる練習(目も笑っているか確認)
- 目線を合わせる練習(3秒見つめて話す)
- マスク越しでも“笑顔が伝わる声”の出し方を確認
(2) 動作の確認
- 診察室への誘導や受付動作を動画で撮影し、お互いにフィードバック
- お辞儀や身振りをペアで練習し合う
- クロークやトイレ案内のロールプレイで、姿勢・立ち位置を調整
(3) 声・言葉以外の練習
- 声のトーン(優しさ・落ち着き・明瞭さ)の出し分け
- 患者さんの表情を読み取る「観察力」トレーニング
- 呼び出し時の歩き方・速度などの印象確認
一人で行うのではなく、チームで楽しく行うことでモチベーションも上がります。
5. 患者さんは“言葉以上に”スタッフを見ている
「いい医院ですね」と言われるとき、内容はたいてい技術の話ではなく、スタッフの感じの良さです。
特に初診患者さんや不安を抱えて来院する方は、「この医院に任せて大丈夫か」「安心して通えそうか」を非言語から感じ取っています。
非言語コミュニケーションは、まさに“医院の空気”そのもの。
全員が意識を共有し、日々の行動を磨くことで、言葉以上の信頼を生むことができます。

まとめ|言葉にならない「安心感」は、表情と所作で伝わる
接遇とは、言葉で説明するものではなく、日々の振る舞いから滲み出るもの。
非言語を意識することは、「患者さんの安心感をデザインする」ことに他なりません。
表情、動き、空気感――。
言葉にしないコミュニケーションこそが、患者さんの心をつかむ最大の鍵になるのです。
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