クリニックにおける電話対応の応用──予期せぬ場面でも信頼を守るための実践ポイント

電話対応の基本は、迅速・明確・丁寧の三原則です。しかし、日々の診療現場では、予定通りのやりとりばかりではありません。予約の急な変更、診療に関する複雑な質問、時にはクレームや感情的な声も届きます。

こうした応用的な場面こそ、医院の接遇力が試される瞬間です。今回は、日常で起こりやすい応用的な電話対応のポイントと、その具体的な進め方について解説します。


目次

1. 予約変更やキャンセルへの対応

予約の変更やキャンセルは日常的に発生しますが、患者さんの状況はさまざまです。急な事情で来られなくなった場合もあれば、忘れていたというケースもあります。
まずは、相手の事情を否定せず受け止める言葉から始めます。
「そうだったのですね、承知いたしました。それでは改めてご都合のよい日をご案内いたします」と、落ち着いたトーンで対応します。
再予約の際は、患者さんが再び足を運びやすいよう候補日を複数提示し、スムーズに決定できるようにしましょう。


2. 医療に関する質問の受け方

電話での診療相談は、詳細な診断や判断ができないため、情報提供の範囲に注意が必要です。
まずは「お困りのことをお聞かせいただけますか」と丁寧に状況を伺い、その上で「詳しい診断は実際の診察で行いますが、一般的には…」と説明します。
専門用語は避け、患者さんが理解しやすい言葉を使いましょう。受付スタッフが対応する場合は、判断が難しい内容は「医師から折り返しご連絡いたします」とお伝えし、確実に情報を引き継ぐことが大切です。


3. クレームや感情的な声への対応

不満や怒りを抱えた患者さんからの電話は、感情の受け止め方とその後の対応が鍵です。
まずは途中で遮らず最後まで話を聞き共感の言葉を添えます。
「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」と謝意を示した上で、事実関係を整理します。
その場で解決が難しい場合は、「責任者から折り返しご連絡いたします」と伝え、対応をバトンタッチします。スピード感のある後追い連絡が、信頼回復につながります。


4. 複雑な日程調整や多人数の予約

健診や家族での受診など、複数人の予約は調整に時間がかかります
事前にカレンダーや空き枠の確認ルールを整備しておくとスムーズです。
患者さんを待たせすぎないよう、「少々お時間をいただきます」と断り、長引く場合は折り返しの提案をしましょう。
折り返しの際は、確定情報を整理してから電話することで、二度手間や再調整を防げます。


5. 留守番電話・折り返し対応

留守電のメッセージは短く明確にします。
「〇〇クリニックでございます。現在電話に出られません。お名前とご用件をお伝えください。折り返しご連絡いたします」など、安心感を与える言葉を入れます。
折り返しは可能な限り当日中に行い、時間がかかる場合はその旨をメッセージで伝えることが望ましいです。


6. 応用力を高めるためのトレーニング

応用的な対応は経験だけでなく、事前訓練によっても磨かれます。

これらを定期的に行い、スタッフ全員が自信を持って対応できる状態を作ります。トレーニング後はフィードバックを行い、良かった点と改善点を共有しましょう。

電話対応は、基本があってこそ応用が生きます。予約変更やクレーム対応などの場面で、落ち着いた言葉選びと迅速な対応ができるかどうかは、患者さんの信頼を大きく左右します。日々の対応を振り返り、医院全体で質を高める取り組みを継続しましょう。

次回は、この応用的な対応をさらに発展させ、患者さんの心をつかむ一歩上の工夫や、医院の信頼を飛躍的に高める極意について解説します。


▶次回、「クリニックにおける電話対応の極意_一歩先を行く信頼構築と患者さんのファン化を実現する」はこちら

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