クリニックの経営が安定し、さらに成長していくためには「スタッフの力」をどう引き出すかが大きなカギとなります。
患者さんと接する時間の多くを担うのはスタッフであり、育成の仕方次第で満足度や口コミ評価、さらには経営の安定度まで大きく変わります。
では、どのような方針でスタッフ育成を考えるべきでしょうか。
スタッフ育成の基本方針と考え方
1. 「指導」から「成長支援」へ視点を切り替える
スタッフ育成と聞くと「指導」「教育」という言葉を連想する方も多いでしょう。
もちろん基本的なルールや技術の指導は欠かせませんが、それだけでは一方通行になりがちです。
本当に成果を上げる育成とは、スタッフの可能性を信じ、自分で学び成長できる環境をつくることです。
「教え込む」ではなく「育つのを支える」という発想に切り替えると、院内の雰囲気も大きく変わっていきます。
2. 院長・リーダーの役割を明確にする
育成の責任を院長一人が背負い込むと、負担が大きくなりすぎます。
現場のリーダーや先輩スタッフに権限を委ね、役割分担をはっきりさせることが大切です。
- 院長:ビジョンと方針を示し、大枠を決める
- リーダー:日常業務の中で行動をフォローする
- 先輩スタッフ:後輩のロールモデルとなり、具体的にサポートする
「誰が何を担うのか」が整理されることで、育成は持続可能になります。
3. 個々の強みを活かすアプローチ
スタッフは一人ひとり性格も得意分野も異なります。
すべての人に同じ基準を押し付けるのではなく、強みを伸ばす育成を意識すると、成長スピードが早まります。
- コミュニケーションが得意な人 → 患者対応や電話応対を任せる
- 丁寧で正確な人 → 会計やカルテ管理を担当させる
- 観察力のある人 → 診療補助や器具準備を強みに
「その人が輝ける場面を用意する」こと自体がモチベーションにつながります。
4. 成長の道筋を“見える化”する
育成でよくある不満は「どこを目指して頑張ればいいのか分からない」という声です。
そこで役立つのがキャリアパスや評価制度の導入です。
- 入職1年目は基本業務をマスター
- 3年目には後輩指導を担当
- 将来的にはリーダーや教育担当へ
このように「次のステップ」が明示されていると、スタッフは自ら学びを深めやすくなります。
また院長にとっても「今どの段階にいるか」が可視化されるため、指導の方向性がずれにくくなります。
5. フィードバック文化をつくる
育成において欠かせないのがフィードバックです。
ただし「できていない点を指摘する」だけでは逆効果になります。
- 良い点を具体的に認める(例:「笑顔で患者さんに声をかけていたのが良かったね」)
- 改善点は行動ベースで伝える(例:「受付で書類を渡すとき、説明を一言添えるともっと安心感が出ます」)
このバランスを意識することで、スタッフは前向きに改善に取り組むようになります。
6. 成育環境=“安心して挑戦できる場”を整える
人は「失敗したら責められる」と思うと新しいことに挑戦しなくなります。
反対に「チャレンジを応援してもらえる」環境では、スタッフは積極的に動くようになります。
院長やリーダーは「失敗は成長の過程」と受け止め、リカバリーの仕組みを整えることが重要です。
この“心理的安全性”が育成の土台になります。
7. スタッフ育成がもたらす好循環
適切な育成は、単にスタッフを成長させるだけではありません。
- 患者満足度の向上:スタッフの自信と安心感が患者対応に表れる
- 定着率アップ:成長を実感できる職場は離職率が低い
- 組織力の向上:自走できるスタッフが増え、院長の負担が減る
結果としてクリニック全体が活気づき、口コミや地域での評判にも良い影響を与えます。

まとめ
スタッフ育成の基本は「教え込む」ことではなく、自ら成長できる環境を整えることです。
院長は方針を示し、リーダーや先輩が日常的に支える仕組みを整える。
そして強みを活かし、キャリアの道筋を示すことで、スタッフは自ら成長していきます。
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