どんな医院にも、「言われないと動かない」「自分で考えようとしない」スタッフがいます。
一見やる気がないように見えるこのタイプですが、実はそうではありません。
多くの場合、「失敗したくない」「叱られたくない」という気持ちが強く、自信のなさが行動のブレーキになっています。
つまり、指示待ちタイプに必要なのは“叱咤”ではなく“支援”。
小さな成功を積み重ね、自信を取り戻すサポートこそが、行動を生み出すエンジンになります。
本稿では、そんなスタッフを前向きに動かすための3つのポイントを解説します。
指示待ちタイプを動かす3つのポイント
1. 成功体験のハードルを下げる
最初のステップは、「できた!」という感覚を積ませることです。
最初から難易度の高い仕事を任せると、失敗を恐れて動けなくなってしまいます。
まずは「成功のハードルを下げる」ことが重要です。
たとえば次のような課題設定が効果的です。
- 「今日1日、患者さんに3回笑顔で挨拶する」
 - 「1件だけ自分主導で受付対応をしてみる」
 - 「朝礼で一つだけ意見を言ってみる」
 
達成できたら、すぐに言葉でフィードバックしましょう。
「ありがとう、助かったよ」
「いい動きだったね」
この一言が“報酬”となり、行動を続ける意欲を生み出します。
また、褒める対象は「結果」ではなく「行動」。
たとえ完璧でなくても「挑戦したこと」そのものを承認することが、行動の安心感につながります。
この「挑戦→承認→自信」の循環が、主体性を生む原動力となります。
2. 指示ではなく“確認と承認”で関わる
指示待ちタイプに対しては、命令口調や高圧的な言葉が逆効果です。
「これをやって」「まだ終わっていないの?」といった言葉は、
「また失敗したらどうしよう」という不安を増幅させ、行動を止めてしまいます。
そこで意識したいのが、指示を“対話”に変えること。
問いかけや確認を通じて、スタッフが“自分で考える時間”を持てるように導きます。
たとえば、こんな言葉かけが効果的です。
- 「この対応、どう思う?」
 - 「こういう場合、どっちの方法が良さそう?」
 - 「今後はどんなふうに進めたい?」
 
このように“考える機会”を与えることで、スタッフの中に「自分の意見を持つ」習慣が育ちます。
行動後は、“結果”ではなく“姿勢”を認めることがポイントです。
- 「確認してくれて助かったよ」
 - 「自分で考えて動いてくれて嬉しい」
 - 「以前よりも対応がスムーズになってきたね」
 
このように「行動=認められる」と実感できる関わりが、次の挑戦を後押しします。
3. 定期的なフィードバックで“成長を見せる”
指示待ちタイプは、自分の成長を実感しにくい傾向があります。
「できていない」と思い込みやすく、努力が結果に結びついていることに気づかないのです。
そこで有効なのが、定期的に“成長を可視化する”機会をつくることです。
たとえば次のような方法を取り入れましょう。
- 月1回の面談で、前月との変化を一緒に振り返る
 - 「成長ポイント」を3つ書き出して共有する
 - 改善点よりも「できるようになった点」を優先して伝える
 
伝えるときは、抽象的な褒め言葉ではなく、具体的な変化を指摘するのが効果的です。
「報告の内容が具体的になってきたね」
「患者さんへの声かけが自然になった」
「確認にかかる時間が短くなったよ」
こうした具体的な言葉が“自分は成長している”という自信を生み、モチベーションを高めます。
フィードバックの場を叱責ではなく“成長の確認”として設けることで、
「この人は自分を見てくれている」という信頼が生まれます。
指示待ちを“自走型”に変える環境づくり
指示待ちタイプは、決して能力が低いわけではありません。
むしろ、慎重で正確、責任感が強いというチームに欠かせない特性を持っています。
その力を活かすには、安心して挑戦できる環境が必要です。
リーダーが意識したい3つの姿勢は以下の通りです。
- 「任せる勇気」を持つ
 - 「失敗を許す余白」をつくる
 - 「できた瞬間を逃さず褒める」
 
任せるとは信頼を伝えること。
見守るとは成長を待つこと。
承認するとは努力を見つけること。
この3つを繰り返すことで、医院全体の主体性が少しずつ底上げされていきます。

まとめ
指示待ちタイプのスタッフを変えるには、叱るより“認める”が効果的です。
小さな成功体験を積ませ、確認と承認を重ね、成長を見せる。
この3ステップで、「やればできる」という自己信頼が育ちます。
焦らず、責めず、認めながら伴走すること。
その姿勢こそが、やがてスタッフを“自ら考え行動できる人材”へと変えていくのです。
次回は「プライドが高いタイプを味方につける方法」。注意に反発しやすいスタッフの心理を理解し、“尊重しながら方向づける”具体的な伝え方を解説します。
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