患者満足度調査を実施すると、患者さんからさまざまな意見が集まります。その結果を見て、「当院の患者さんは満足している」「この項目への不満が多い」と判断することもあるでしょう。
しかし、ここで注意したいのが「誰が回答しているのか」という問題です。
アンケートに回答する患者さんは、来院した患者さん全員から無作為に選ばれているわけではありません。回答しやすい人、意見を伝えたい人、時間に余裕のある人など、一定の特徴を持った患者さんに偏る可能性があります。
今回は、患者満足度調査で回答者が偏る理由と、結果を見る際に意識したいポイントについて考えてみましょう。
患者満足度調査の回答者が偏る理由
満足している人だけが回答するとは限らない
患者満足度調査では、回答する動機そのものに違いがあります。
- 非常に満足したため感謝を伝えたい
- 強い不満があり意見を伝えたい
- アンケートに協力することへ抵抗がない
- スタッフから声を掛けられて回答した
特に「とても満足した」「非常に不満だった」といった強い感情を持つ患者さんは、意見を伝えようという動機が生まれやすくなります。一方で、「特に問題はなかった」と感じている多数の患者さんは、そのまま帰宅してしまうかもしれません。
そのため、集まった回答だけをそのまま患者さん全体の評価だと考えない視点が必要です。
回答方法によっても患者層は変わる
アンケートの実施方法によって、回答しやすい患者さんは変わります。
- QRコードから回答してもらう
- タブレットを院内に設置する
- 紙のアンケートを配布する
- URLをメールやLINEなどで案内する
例えば、スマートフォンからの回答だけにすると、デジタル機器に慣れていない患者さんの意見が集まりにくくなる可能性があります。反対に、院内でスタッフが直接アンケートをお願いすると、断りにくさから本音を書きづらくなる患者さんもいるでしょう。
調査方法そのものが、集まる回答の内容や回答者の構成に影響している可能性を考える必要があります。
「回答しなかった患者さん」にも目を向ける
患者満足度調査で見えているのは、あくまでも「回答してくれた患者さん」の声です。実は、調査結果には表れない「回答しなかった患者さん」の存在も非常に重要です。
例えば、高齢の患者さんから回答がほとんど集まっていなければ、その世代が感じている不満や要望はデータに反映されていない可能性があります。また、初診患者さんばかり回答している場合には、長期通院している患者さんの評価を十分に把握できていないかもしれません。
そのため、回答数だけを見るのではなく、年代、来院歴、診療内容、回答したタイミングなど、可能な範囲で回答者の構成も確認することが重要です。
「アンケート結果=患者全員の声」ではありません。どのような患者さんの声が集まり、逆にどのような患者さんの声が抜けているのかを意識することで、調査結果をより正しく活用できるようになります。
一度の調査ではなく継続して傾向を見る
回答者の偏りを完全になくすことは難しいため、患者満足度調査では継続的な測定が重要になります。
- 回答数だけでなく回答率も確認する
- 回答者の属性に偏りがないかを見る
- 時期による結果の変化を比較する
- 自由記述と数値の両方を確認する
例えば、ある月だけ評価が大きく低下していても、その月の回答数が極端に少なければ、一部の意見に強く影響されている可能性があります。逆に、数か月にわたって同じ項目の評価が低ければ、改善すべき課題である可能性は高まります。
一回の数字に一喜一憂せず、継続的に傾向を見ることが患者満足度調査を経営改善へつなげるポイントです。

まとめ
患者満足度調査は、患者さんの声を知るための非常に有効な方法です。しかし、回答している患者さんが、必ずしも来院患者全体をそのまま代表しているわけではありません。
回答する動機、アンケートの実施方法、患者さんの年代や来院歴などによって、回答者には一定の偏りが生じます。そのため、単純な満足度の数字だけを見るのではなく、「誰の声が集まっているのか」「誰の声が集まっていないのか」まで考えることが重要です。
複数の方法で回答しやすい環境を整え、継続して傾向を追うことで、患者さんの実態により近い課題が見えてきます。
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