「特に問題はありません」
スタッフからそう聞いて安心していたのに、後になって患者さんからクレームが入ったり、スタッフ間のトラブルが発覚したりすることがあります。
院長からすると、「なぜもっと早く言ってくれなかったのか」と思うでしょう。しかし、現場では以前から小さな問題に気付いていたにもかかわらず、院長まで情報が上がっていなかったというケースは少なくありません。
問題が報告されない原因を、「スタッフの報告意識が低い」で終わらせることはできません。報告しづらい雰囲気や、誰に伝えるのか分からない仕組みそのものに問題がある場合もあります。
今回は、現場の問題が院長まで上がってこない医院の共通点について考えてみましょう。
現場の問題が院長まで上がってこない医院の共通点
報告すると怒られる雰囲気がある
スタッフは、「報告した結果どうなるか」を考えてから院長へ話します。
- 報告したスタッフを責めない
- まず事実を確認する
- ミスと報告を分けて考える
- 早く報告したことを評価する
例えば、ミスを報告するたびに「なんでそんなことになったの?」と強く責められていれば、スタッフは次第に問題を隠すようになります。もちろんミスの原因を確認することは必要ですが、報告したことまで否定してはいけません。
「問題が起きたら早く知らせてほしい」と思うのであれば、まずは報告できる雰囲気をつくることが必要です。
「どこまで報告するか」が決まっていない
院長とスタッフでは、「重要な問題」の基準が異なることがあります。
- 報告が必要な事項を決める
- 緊急性によって報告方法を分ける
- 誰に報告するのか明確にする
- 小さな異変も共有できるようにする
スタッフは「これくらいなら自分たちで対応できる」と判断していても、院長にとっては重要な情報かもしれません。反対に、すべてを院長へ報告する仕組みにすると、情報が多過ぎて機能しなくなることもあります。
患者対応、人間関係、診療上の問題など、何をどの段階で誰へ報告するのか、一定の基準を決めておくことが重要です。
問題が院長へ届くまでに止まっている
スタッフ数が増えてくると、院長が現場のすべてを直接把握することは難しくなります。
例えば、スタッフがリーダーへ相談し、リーダーが必要に応じて院長へ報告する仕組みがあったとしても、「この程度なら院長へ伝えなくていいだろう」と途中で情報が止まることがあります。また、口頭だけで情報共有していると、忙しさの中で伝え忘れることもあります。
さらに注意したいのは、複数の小さな問題が別々に起きているケースです。一件ずつ見れば大したことがなくても、「最近同じクレームが続いている」「特定の時間帯だけトラブルが多い」とまとめて見ることで、初めて組織的な問題だと分かることがあります。
院長がすべての情報を直接集める必要はありません。しかし、重要な情報が途中で止まらず、必要なものが院長まで届く流れをつくっておくことは必要です。
情報が上がる仕組みをつくる
現場情報を院長へ届けるには、スタッフ個人の判断だけに頼らない仕組みが必要です。
- 定期ミーティングで問題を共有する
- リーダーから院長への報告機会を設ける
- 報告事項を記録に残す
- 報告後の対応結果まで共有する
例えば、毎週のミーティングで「患者さんからの意見」「業務上の問題」「スタッフからの相談」を確認する項目を固定しておけば、小さな問題も共有しやすくなります。また、報告を受けた院長がどう対応したのかをスタッフへ返すことも重要です。「報告しても何も変わらない」と感じれば、次第に情報は上がらなくなります。
報告から改善までの流れを見せることが、情報共有を定着させます。

まとめ
現場から問題が上がってこないからといって、問題が起きていないとは限りません。報告すると怒られる、何を報告すればよいか分からない、途中で情報が止まる、報告しても何も変わらないといった環境では、重要な情報ほど院長から見えなくなっていきます。
院長が知りたいのは、大きな問題になってからの報告ではなく、その前に現れている小さな異変のはずです。そのためには、スタッフへ「何でも報告して」と言うだけではなく、誰が、何を、いつ、どのように報告するのかを仕組みにすることが重要です。
問題を早く見つけられる医院とは、問題が少ない医院ではなく、小さな問題がきちんと表に出てくる医院なのです。
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