「予約のことは受付スタッフに任せています」
日々の予約受付をスタッフが担当すること自体は、多くの医院で行われています。院長が一件ずつ予約を取る必要はありません。
しかし、「予約を取る仕事を任せること」と「予約枠の設計まで任せること」は別です。
どの診療に何分確保するのか、どの時間帯に何人受け入れるのか、急患枠をどうするのか。こうした予約枠の設計は、診療効率だけでなく、患者数や売上、待ち時間、スタッフの働き方にも影響します。
スタッフがその場その場で判断して予約表を埋めているのであれば、医院全体として最適な予約になっていない可能性があります。
今回は、予約枠をスタッフ任せにしてはいけない理由について考えてみましょう。
予約枠をスタッフ任せにしてはいけない理由
スタッフによって予約の取り方が変わる
明確な基準がなければ、予約を担当するスタッフによって判断が変わります。
- 診療内容ごとの予約時間を決める
- 予約を入れられる条件を明確にする
- 急患への対応方法を統一する
- 判断に迷うケースの確認先を決める
例えば、同じ診療内容でも、あるスタッフは30分、別のスタッフは45分で予約を取っていることがあります。また、「この時間なら入れても大丈夫」と考える基準も人によって違います。
予約管理をスタッフの経験や感覚に頼るのではなく、医院として基本的なルールを決めておくことで、誰が担当しても大きな差が生まれない状態をつくることが重要です。
「空いているところに入れる」だけでは効率は上がらない
予約表に空きがあれば、そこへ患者さんを入れたくなります。
- 診療内容の組み合わせを考える
- 医師や有資格スタッフの動きを確認する
- 診療スペースや設備の状況を見る
- 前後の予約への影響を考える
予約枠が空いているからといって、その時間にどのような診療でも入れられるとは限りません。時間のかかる診療が重なれば、その後の予約まで遅れる可能性があります。一方で、余裕を持たせ過ぎれば診療できる患者数が減ってしまいます。
予約表は空白を埋めるものではなく、一日を通して診療がスムーズに進むように組み立てるものです。
スタッフは「経営全体」を見て予約を取っているわけではない
受付スタッフは、患者さんから希望日時を聞き、できるだけ希望に沿った予約を取ろうとします。それ自体は当然の対応です。
しかし、医院経営という視点では、それだけでは不十分な場合があります。
例えば、医院として新患を増やしたい時期なのに、新患を受け入れられる枠がほとんどない。急患を受け入れたい方針なのに、予約を限界まで詰めている。反対に、予約時間を必要以上に長く確保しているため、診療可能な患者数が少なくなっていることもあります。
これは受付スタッフの責任ではありません。
医院がどのような診療体制を目指し、そのために予約表をどう設計するのかを決めるのは経営側の仕事です。
スタッフには、その方針に沿って予約を取ってもらう。そう考えると、予約管理における院長とスタッフの役割も明確になります。
予約枠は実績を見ながら見直す
一度決めた予約枠を、そのまま使い続ける必要はありません。
- 実際の診療時間を確認する
- 待ち時間や遅延を確認する
- 予約の入りにくい時間帯を把握する
- キャンセルや空き枠の状況を見る
例えば、30分枠で設定している診療が毎回40分以上かかっているなら、予約枠か診療の流れを見直す必要があります。反対に、余裕を持たせ過ぎて空き時間が頻繁に発生しているなら、枠を短くできる可能性があります。
院長や責任者が定期的に予約状況を確認し、実績に合わせてルールを修正することが重要です。

まとめ
予約受付の実務をスタッフへ任せることに問題はありません。しかし、予約枠そのものをスタッフの経験や感覚だけで決める状態には注意が必要です。
どの診療にどれだけ時間を確保するのか、どのような組み合わせで予約を入れるのか、新患や急患をどこまで受け入れるのか。こうした判断には、医院が目指す診療体制や経営方針が関係します。
院長や責任者が基本となる予約設計を決め、スタッフがそのルールに沿って運用する。そして実際の診療状況を確認しながら定期的に見直すことが必要です。
予約を取るのはスタッフでも、どのような予約表をつくるのかという基本設計までスタッフ任せにしないことが、安定した医院経営につながります。
一度、現在の予約ルールを確認してみてください。予約を取るスタッフが変わっても、同じ基準で予約表を組める状態になっていますか?
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