「自費診療については、きちんと説明しているのですが選ぶ患者さんが少ない」
このような場合、「患者さんは費用を理由に自費診療を選ばない」と考えてしまうことがあります。
もちろん、価格は患者さんにとって重要な判断材料です。しかし、自費診療を選ばない理由が価格だけとは限りません。
説明を受けても、保険診療との違いがよく分からない。自分にとってどのようなメリットがあるのか理解できない。専門的な説明が多く、結局どれを選べばよいのか分からない。
こうした状態では、患者さんは判断するための情報が不足したまま、「よく分からないから今までどおりでいい」と考えてしまうことがあります。
今回は、自費診療を選ぶ患者さんが少ない医院で見直したい説明について考えてみましょう。
自費診療を選ぶ患者が少ない医院に足りない説明とは
「違い」だけでなく患者にとっての意味を伝える
自費診療を説明するとき、機能や方法などの違いを伝えるだけになっていないでしょうか。
- どのような違いがあるのか
- 患者さんにどのようなメリットがあるのか
- どのような人に向いているのか
- 注意点やデメリットは何か
医療者にとっては大きな違いでも、患者さんにはその価値が分からないことがあります。
「こちらの方が○○という特徴があります」と説明するだけでなく、「そのため○○を重視する方には、このようなメリットがあります」と患者さん自身の生活や希望と結び付けて説明することが重要です。
患者さんが何を重視しているのかを先に聞く
自費診療の説明というと、「何を話すか」に意識が向きがちです。しかし、その前に必要なのが患者さんの考えを聞くことです。
- 何に困っているのか
- 何を改善したいのか
- 治療や施術で何を重視するのか
- 費用や期間についてどのように考えているのか
例えば、できるだけ通院回数を減らしたい人と、時間がかかっても費用を抑えたい人では、同じ説明をしても受け止め方が違います。
最初から自費診療の特徴を一方的に説明するのではなく、まず患者さんが何を求めているのかを確認する。そのうえで、その希望に関係する選択肢を説明する方が、自分のこととして理解してもらいやすくなります。
専門用語ではなく「選ぶための言葉」で説明する
医療者にとって当たり前の言葉でも、患者さんには分かりにくいことがあります。
専門用語を使って詳しく説明すると、説明した側は「十分に伝えた」と感じます。しかし患者さんは、分からないことがあっても、その場では質問できずに聞いていることがあります。
自費診療の説明で重要なのは、専門知識をたくさん伝えることではありません。
患者さんが、
「自分にはどのような選択肢があるのか」
「それぞれ何が違うのか」
「自分が重視していることならどれが合っているのか」
を理解できることです。
説明の目的は、医療者が知っていることをすべて話すことではなく、患者さんが自分で選べる状態をつくることと考える必要があります。
「どうしますか?」の前に理解を確認する
一通り説明した後、すぐに「では、どちらにしますか?」と聞いていないでしょうか。
- 分からない点がないか確認する
- 選択肢の違いを理解できたか確認する
- 不安に感じていることを聞く
- 必要なら考える時間を設ける
患者さんが迷っているとき、「自費診療に興味がない」と決めつけるのは早過ぎます。
費用が心配なのか、違いが分からないのか、家族と相談したいのか、まだ決断するだけの情報が足りないのか。それによって必要な対応は違います。
その場で決断を求めるのではなく、説明資料や治療計画書を持ち帰って検討してもらうことも一つの方法です。
患者さんが納得して判断できるところまで支援することが、自費診療の説明では重要です。

まとめ
自費診療を選ぶ患者さんが少ないとき、すぐに「価格が高いから仕方がない」と考えるのではなく、患者さんへの説明を見直してみる必要があります。
選択肢の違いを説明しているかだけでなく、その違いが患者さんにとってどのような意味を持つのかまで伝わっているでしょうか。
そして、説明する前に患者さんが何を重視しているのかを聞き、専門用語ではなく判断しやすい言葉で伝え、最後に理解できたかを確認することも大切です。
「自費診療を勧める説明」から、「患者さんが自分に合った選択肢を判断できる説明」へ変えること。その結果として、自費診療を選ぶ患者さんも増えていきます。
一度、自院で行っている自費診療の説明を振り返ってみてください。こちらが伝えたいことを話すだけではなく、患者さんが「自分にはどれが合っているか」を判断できる説明になっていますか?
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