患者さんからクレームを受けると、まずはその場で謝罪し、問題を収めることに意識が向きます。
もちろん、患者さんの話を丁寧に聞き、適切に対応することは重要です。しかし、そこで対応を終えてしまうと、同じクレームが再び起こる可能性があります。
「待ち時間が長い」「説明が分かりにくい」「スタッフの対応が気になった」といった声には、医院側では気付いていなかった問題が隠れていることがあります。
クレームは決して歓迎できるものではありませんが、医院の弱点を患者さんが教えてくれた貴重な情報と捉えることもできます。
今回は、患者さんから寄せられたクレームを、その場の対応だけで終わらせず、医院の改善につなげる方法について考えてみましょう。
患者からのクレームを医院の改善につなげる方法
クレームの内容を記録に残す
クレームを改善につなげる第一歩は、内容をきちんと記録することです。
- いつ、どのようなクレームがあったか
- 患者さんが何に不満を感じたのか
- その場でどのように対応したか
- その後どのような結果になったか
口頭で「今日こんなことがありました」と共有するだけでは、時間が経つと忘れられてしまいます。また、一件ずつでは小さな問題に見えても、記録を残していれば「最近、待ち時間についての指摘が増えている」といった傾向に気付くことができます。
クレームを個別の出来事として処理するのではなく、医院の改善に使える情報として蓄積することが重要です。
「誰が悪かったか」より原因を考える
クレームが起きると、原因となったスタッフを探したくなることがあります。
- 起きた事実を整理する
- なぜその状況になったのかを確認する
- 業務の仕組みに問題がなかったか考える
- 再発を防ぐ方法を話し合う
例えば、「受付スタッフの説明が不足していた」というクレームでも、そのスタッフ個人だけの問題とは限りません。説明する内容が統一されていない、マニュアルがない、必要な情報が受付まで伝わっていないといった組織上の原因があるかもしれません。
個人を注意して終わらせるのではなく、「なぜその対応になったのか」まで確認することで、再発防止につながります。
一件のクレームの背景に同じ不満を持つ患者がいるかもしれない
実際にクレームとして伝えられる意見は、患者さんが感じている不満のすべてではありません。
例えば、一人の患者さんから「待ち時間が長過ぎる」と指摘されたとしても、同じ日に待っていた他の患者さんも同様に感じていた可能性があります。しかし、多くの患者さんは不満があっても、それをわざわざスタッフへ伝えるとは限りません。
そのため、「一人だけが言っているから」と軽く考えるのは危険です。
同じ内容のクレームが過去にもなかったか、患者満足度調査ではどのような評価になっているか、予約や診療の流れに問題がないかなど、ほかの情報と合わせて確認する必要があります。
クレームの件数だけを見るのではなく、その一件が医院全体の問題を表している可能性がないかを考えることが大切です。
改善した結果まで確認する
クレームへの対策を決めても、実行しただけでは改善できたかどうか分かりません。
- 改善策と担当者を決める
- 実施する期限を設定する
- 同じクレームが再発していないか確認する
- 必要に応じて対策を見直す
例えば、説明不足へのクレームを受けて説明資料を作成したのであれば、それで終了ではありません。実際に資料が使われているか、患者さんの理解が進んだか、同様のクレームが減ったかまで確認する必要があります。
「クレーム→原因分析→改善→効果確認」という流れをつくることで、一つの患者さんの声を医院全体の改善へ活かせるようになります。

まとめ
患者さんからクレームを受けたとき、その場できちんと対応することはもちろん重要です。しかし、本当の改善は患者さんへの対応が終わった後から始まります。
クレームの内容を記録し、原因を分析し、改善策を実行する。そして、同じ問題が起きていないかを確認する。この流れがなければ、スタッフがその都度謝罪するだけになり、同じ問題を繰り返すことになります。
また、一件のクレームの背景には、同じ不満を感じながら何も言わない患者さんがいる可能性もあります。クレームを「困った患者さんへの対応」で終わらせず、医院の仕組みを見直すきっかけとして活用することが大切です。
一度、最近受けたクレームを振り返ってみてください。その場で対応して終わりではなく、医院の改善までつなげられていますか?
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