「スタッフが辞めることになったので、急いで求人を出した」
医院ではよくある採用の始まり方です。
一人退職する。産休に入る。診療体制を拡大する。そこで初めて求人を出す。
しかし、人手不足になってからの採用は、どうしても医院側が不利になります。
応募が来なければ焦る。ようやく応募があれば「この人を逃したくない」と思う。そして十分に見極めないまま採用してしまうこともあります。
採用が難しい時代だからこそ、「人が足りなくなったら募集する」という考え方そのものを見直す必要があります。
人手不足になってから求人を出す医院の採用が難しい理由
人手不足になると「待つ時間」がなくなる
採用活動を始めても、すぐに希望する人材が見つかるとは限りません。
- 求人を出しても応募が来ない
- 応募があっても条件が合わない
- 面接しても採用に至らない
- 採用しても入職まで時間がかかる
通常であれば、「今回は合わないので見送ろう」と判断できる人材でも、人手不足の状態では「ほかに応募がないから採用しよう」と考えやすくなります。採用基準を下げることと、採用条件を柔軟にすることは別です。
時間に余裕がない採用ほど、医院側が本来の採用基準を守りにくくなります。
人手不足が既存スタッフの負担を増やす
一人足りない状態が続けば、その仕事は残っているスタッフで補わなければなりません。
- 一人あたりの業務量が増える
- 残業や勤務変更が増える
- 教育する余裕がなくなる
- 職場全体に疲労や不満がたまる
そして怖いのが、人手不足によって既存スタッフまで「この状態が続くなら辞めたい」と考え始めることです。一人の退職をきっかけに現場が忙しくなり、さらに退職者が出れば、採用はますます難しくなります。
採用の遅れは単に一人足りないという問題ではなく、現在働いているスタッフの定着にも影響します。
急いで採用すると「採ること」が目的になる
本来、採用で大切なのは人数を埋めることではありません。
医院の考え方や仕事内容を理解し、必要な能力を持ち、長く一緒に働ける人を採用することです。
ところが、人手不足になると「とにかく早く一人ほしい」という気持ちが強くなります。
面接で少し気になることがあっても目をつぶる。希望する勤務条件と合わなくても無理に調整する。医院の方針や仕事内容を十分説明しないまま入職してもらう。
その結果、入職後に「思っていた職場と違った」「医院が求めていた人材と違った」というミスマッチが起こることがあります。
そして短期間で退職すれば、また求人を出すところからやり直しです。
人が足りないから採るのではなく、自院に合う人を採る。その判断をするためにも採用には時間的な余裕が必要です。
採用活動は「必要になったら始める」から変える
採用に余裕を持つためには、日頃から準備しておくことが重要です。
- 求人条件を定期的に見直す
- 採用ページや求人原稿を整えておく
- 周辺医院の募集条件を確認する
- 今後必要になる人員を予測する
今すぐ採用する予定がなくても、「一人辞めたら診療体制はどうなるか」「半年後に人員を増やす必要はないか」と考えておくことはできます。また、求人条件や採用ページを整えておけば、必要になったときにゼロから準備する必要もありません。
常時募集が適している医院もあれば、採用予定に合わせて早めに動く医院もあるでしょう。
大切なのは、退職届を受け取った日を採用活動のスタート日にしないことです。

まとめ
人手不足になってから求人を出すと、医院には時間の余裕がありません。
応募が少なければ焦り、採用基準を守りにくくなり、既存スタッフへの負担も大きくなります。
採用は「欠員を埋める作業」だけではありません。将来必要になる人材を予測し、良い人と出会ったときに採用できる準備をしておくことも採用活動です。
人が足りなくなる前から、求人条件や採用体制を定期的に見直しておきましょう。
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