スタッフ育成に悩む院長やリーダーの多くが口にする言葉があります。
「同じように指導しているのに、人によって反応が違う」
「あるスタッフには伝わるのに、別のスタッフには響かない」
それもそのはずです。人はそれぞれ、性格・価値観・受け取り方が異なります。
マネジメントとは「人を動かす技術」ではなく、「人の違いを理解する技術」です。
同じ言葉でも、タイプによって受け取り方はまったく変わります。
本シリーズでは、医院におけるスタッフタイプ別マネジメントの基本と、実践的な関わり方を全10回にわたり解説していきます。
今回はその第1回として、「タイプ別マネジメント」の考え方を整理します。
タイプ別マネジメントの基本と考え方
1.なぜタイプ別マネジメントが必要なのか
多くのリーダーが陥るのが、「自分のやり方を相手に当てはめる」指導です。
几帳面なリーダーは、全員に完璧を求め、
感情豊かなリーダーは、全員に熱意で訴えようとする。
しかし現実には、
・細かい指示がストレスになるスタッフ
・感情的な言葉に萎縮するスタッフ
・自由に任されると不安になるスタッフ
など、タイプによって反応がまるで違います。
“伝え方を変える”ことが人を育てる第一歩。
タイプを理解すれば、「どう言えば伝わるか」「どんなサポートが響くか」が見えてきます。
2.タイプを見極める3つの視点
スタッフのタイプを理解するには、次の3つの視点を持つとよいでしょう。
- ① 感情の表し方(外向型/内向型)
感情を表に出すタイプか、控えめに内に秘めるタイプか。
叱責よりも“静かな指摘”を好む人もいれば、感情を共有して動ける人もいます。 - ② 判断の基準(論理型/感情型)
理屈で納得して動く人もいれば、共感や信頼で動く人もいます。
どちらが正しいということではなく、「相手がどんな価値観で判断しているか」を見極めることが重要です。 - ③ 変化への反応(安定志向/挑戦志向)
新しい取り組みにワクワクする人もいれば、不安を感じる人もいます。
医院の改善・導入フェーズでは、タイプによる“受け入れ速度の差”を理解することが欠かせません。
3.タイプごとに違う「動機のスイッチ」
タイプが違えば、モチベーションの源泉も違います。
感情重視タイプ
行動の原動力:共感・承認・感謝
効果的な関わり方:「あなたのおかげで助かった」など、気持ちに寄り添う言葉
論理重視タイプ
行動の原動力:理由・目的・目標
効果的な関わり方:「この取り組みで〇〇%改善できる」など、数字や根拠で伝える
安定志向タイプ
行動の原動力:予測可能性・安心感
効果的な関わり方:「まずはこれをやってから次に進もう」と段階的に進める
挑戦志向タイプ
行動の原動力:新しさ・刺激・成長
効果的な関わり方:「この部分、任せてみようか」と裁量を与える
リーダーが意識すべきは、“一律に励ます”ことではなく、
「タイプごとに響く動機の言葉」を使い分けることです。
4.タイプに合わせた指導の基本姿勢
タイプ別マネジメントで大切なのは、「相手を変えよう」とするのではなく、「関わり方を変える」ことに注力することです。
例えば、指示待ちタイプには「できるだけ明確に」「途中経過を確認」。
一方、自由志向タイプには「方向性だけ伝え、結果を信頼する」。
それぞれのスタッフが「自分らしく力を発揮できる環境」を作ることが、タイプ別マネジメントの本質です。
5.医院経営におけるメリット
タイプ別マネジメントを導入すると、次のような効果が期待できます。
- コミュニケーションのズレが減る
- スタッフ同士の誤解・不満が減少
- 離職リスクの早期発見が可能
- 院長・リーダーの指導ストレスが軽減
最終的には、「人が育つ組織」から「人が育て合う組織」へと変化します。
タイプを理解することは、単なる教育テクニックではなく、医院文化の成熟につながる取り組みです。

まとめ
タイプ別マネジメントの出発点は、「正しい・間違い」で人を見るのをやめること。
「なぜこの人はこう反応するのか」という理解の視点を持つことです。
相手のタイプを知ることは、“関係性を良くする武器”ではなく、“信頼を築くための地図”のようなもの。
その地図を手に入れたリーダーは、どんなスタッフとも共に前に進めるようになります。
次回は「指示待ちタイプ」をテーマに、自発的に動けるようになる関わり方と声かけのコツを具体的に解説します。
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