スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』は、世界で3,000万部以上を売り上げたリーダーシップの金字塔です。本書は単なる「成功法則」ではなく、人間関係・組織・人生すべてに通じる“原則中心の生き方”を提唱しています。
医療機関においても、院長やリーダーがこの考え方を身につけることで、チームの成長と医院の信頼を同時に育むことができます。
本稿では『7つの習慣』の核心を医院経営に応用する方法を解説します。
スティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』
1.第1の習慣「主体的である」──リーダーシップの出発点
リーダーが外的要因に振り回されていては、組織も不安定になります。
医院のトラブルやスタッフの行動を「環境のせい」にせず、「自分が変化の起点になる」と考えることが第一歩です。
主体的であるとは、反応ではなく選択で動くこと。
クレーム対応・方針決定・人材育成など、あらゆる判断において「自分はどうあるべきか」を問う姿勢が信頼を生みます。
また、主体性を持つリーダーは、どんな状況でも「選択できる余地」を見出します。
他責ではなく自責の発想が、スタッフの模範となり、組織文化を前向きに変えていくのです。
2.第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」──医院のビジョン構築
「どんな医院にしたいか」が曖昧なままでは、スタッフも迷います。
医院経営における“終わり”とは、理念・方針・理想の状態を明確にすること。
ビジョンを共有すれば、個々の行動が一致し、指示ではなく共感によって動く組織に変わります。
BSC(バランス・スコアカード)や理念共有会議なども、この習慣の実践形です。
経営者の「終わりの絵」は、スタッフにとっての「道しるべ」です。
明確な方向性を示すことで、日々の小さな判断にも一貫性が生まれ、組織がブレずに成長していきます。
3.第3の習慣「最優先事項を優先する」──時間ではなく価値を管理する
院長は多忙です。診療・面談・経営判断など、タスクに追われる日々の中でこそ「緊急ではないが重要なこと」を見失ってはいけません。
- スタッフ育成
- チームミーティング
- 数値の振り返り
これらは一見後回しにされがちですが、医院の成長に直結する“投資活動”です。
コヴィーが説く「第Ⅱ領域」に時間を割くことで、医院は安定し、トラブルは減少します。
「忙しいからできない」のではなく、「重要だからこそ優先する」。
この意識転換が、長期的に見て最も大きな成果をもたらします。
4.第4の習慣「Win-Winを考える」──信頼関係を築く経営姿勢
院長とスタッフ、医院と患者、どちらか一方だけが得をする関係は長続きしません。
Win-Winとは、「相手も自分も尊重し、長期的な信頼を築く」思考です。
給与・評価制度・勤務環境など、スタッフとの関係設計においても「公平で透明性のあるルール」が不可欠です。
スタッフ満足が患者満足につながるという視点こそ、医療経営の本質です。
Win-Win経営の本質は「取引」ではなく「信頼の循環」です。
スタッフを大切に扱えば、彼らは患者を大切に扱う――その連鎖こそ、医院のブランドを育てます。
5.第5〜6の習慣「理解してから理解される」「相乗効果を発揮する」──チーム医療の核心
スタッフを指導する前に、まず彼らの想いを聴く。
これはコヴィーの教えの中でも特に重要な一節です。
相手の立場を理解することで、共感が生まれ、信頼が築かれます。
また、多職種連携や医院内チームの多様性も「相乗効果」の実践です。
異なる視点をぶつけることで、新しい発想や改善策が生まれます。
「聴く文化」がある医院は、意見が出やすく、学びのスピードが速い。
対話を重ねることで、チームが自律的に動くようになり、リーダーの負担も減っていきます。
6.第7の習慣「刃を研ぐ」──学び続けるリーダーであること
医院の成長は、院長の成長と比例します。
最新の医療技術だけでなく、マネジメント・人間関係・心理学などの学びも「刃を研ぐ」行為です。
定期的な外部研修や読書、コンサルタントとの対話などを通じて、常に新しい視点を取り入れる姿勢が医院を進化させます。
スタッフにとって、学び続ける院長の姿は最高の教育素材です。
トップが変化し続ける姿勢を見せることで、チーム全体に「成長の文化」が根づきます。

まとめ
『7つの習慣』は、医院経営におけるリーダーの“あり方”を示す地図のような一冊です。
スタッフを変える前に、自らの姿勢を整えること。
数字の前に、信頼を積み重ねること。
それが最終的に医院全体の成果として現れます。
「成果を上げたいなら、まず原則に立ち返る」――この一冊が、医院経営の軸を整える最高の教科書となるはずです。
次回はD・カーネギー『人を動かす』を取り上げます。
人の心を動かす「影響力の原理」を、医院のリーダーシップにどう活かすかを考えます。
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