従業員満足度を高めたいと考えても、感覚や印象だけでは正しい状況把握はできません。
必要なのは、シンプルかつ継続的に「働きやすさ」「働きがい」を見える化する仕組みです。
その代表的な方法が eNPS(従業員ネット・プロモーター・スコア) です。
今回は、従業員満足度を測定する仕組みをどう設計し、現場で無理なく実施していくかを整理します。
設計と実施のベストプラクティス
測定の測定の目的と範囲を決める
従業員満足度調査は、何のために行うのかを明確にするほど効果が高まります。
目的が曖昧だと「ただのアンケート」で終わってしまい、改善につながりません。
- 目的:定着率改善、院内コミュニケーション強化、採用ブランド向上など
- 対象:常勤・非常勤を含めるか、試用期間中のスタッフを対象とするか
- 連動:評価や処遇と切り離し、安心して回答できる体制をつくる
- 公表:共有範囲(全体数値のみか、部署別も出すか)とタイミングを事前に設定
最初に「この調査は何のためか」を言語化することで、スタッフが納得して回答でき、結果も活かしやすくなります。
質問設計とスコアルール
eNPSは「あなたはこの職場を友人や知人に勧めたいと思いますか?」というシンプルな質問を軸にします。
これに理由を尋ねる自由記述を加えると、改善のヒントが見えやすくなります。
- コア質問:eNPS(0〜10点)+5段階満足度質問+自由記述
- 補助設問:人間関係、成長機会、業務負荷など主要因子を1〜5点で評価
- 匿名性:自由記述には固有名詞を避ける注意書きを添える
- スコア処理:eNPS値+満足度調査結果 相関関係を分析して算出
軽い負担で実施でき、かつ改善に直結する情報を引き出すことが設計のポイントです。
実施の頻度とタイミング
調査は「やりすぎ」ても「やらなさすぎ」ても効果が薄れます。
現場に定着するリズムを意識しましょう。
- 目安は四半期に1回(年4回)か、隔月(年6回)
- 繁忙期直後は避け、落ち着いた時期に実施する
- 初回は「目的」と「回答の活かし方」をしっかり説明
- 毎回の実施日を固定し、習慣化することで継続率を高める
「定期的に、無理なく回す」ことが、従業員満足度の変化を追うカギとなります。
回収率を高める工夫
せっかく調査しても回答が集まらなければ意味がありません。
小さな配慮で回収率は大きく変わります。
- 回答にかかる時間は1〜2分に収める
- スマホで完結できるように設計する
- 院長やリーダーが率先して回答し、雰囲気をつくる
- 締切前に1回だけリマインドする
- 回答後は「お礼」と「次回に活かす」ことを必ず伝える
こうした工夫で「手軽で、反映される」という実感をスタッフに持ってもらうことが重要です。
ツールの一例として E-Pサーベイ を使えば、自動集計やグラフ化まで効率的に行えます。
匿名性と自由記述の扱い
率直な意見を集めるには「安心して書ける場」が欠かせません。
- 回答は完全匿名で扱うことを明示する
- 自由記述は「事実 → 行動 → 要望」の順で書けるよう案内する
- 個人攻撃や不適切な内容は非公開とするルールを事前に周知する
- 公表は要点と改善策に絞り、個人が特定されないよう配慮する
安心感があるほど、本音が集まり、改善に役立つデータになります。
結果共有と改善へのつなげ方
調査結果は「点数を出して終わり」では意味がありません。
全体傾向を共有したうえで、小さな改善につなげることが信頼を高めます。
- 全体スコアを院内に共有する
- 強みとなっている要素を称賛する
- 課題点は次回までの行動計画に落とし込む
「調査に答えれば変化がある」と実感できれば、次回以降の協力も得やすくなります。

まとめ
従業員満足度は、測って終わりではなく「どう設計し、どう実施するか」で成果が大きく変わります。
eNPSはシンプルで継続しやすく、現場の声を可視化する有効な手段です。
重要なのは、結果をスタッフと共有し、改善につなげること。
小さな工夫を積み重ねれば、従業員満足度は医院経営を支える力に変わっていきます。
次回(第3回)は、スコアの読み解き方と改善施策への具体的な落とし込みを取り上げます。
BSCなどの仕組みも参考にしながら、日常の経営に活かす方法を解説します。
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弊社では、医院経営を支える仕組みづくりをお手伝いしています。
- 接遇・ホスピタリティ研修:現場のコミュニケーションを改善し、スタッフの意欲と患者満足度を同時に高めるプログラム
- E-Pサーベイ:従業員満足度と患者満足度を一元的に把握できるアンケートツール
- 経営コンサルティング:医院の成長段階に合わせて、組織づくりや人材育成を継続的にサポート
従業員のやりがいと患者の安心感、この両輪を回すことが安定した医院経営の基盤となります。
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