【シリーズ】医院経営者のためのスタッフ評価制度ガイド➂(全4回)

歯科衛生士や看護師といった有資格者スタッフは、患者さんに直接関わる専門職として、医院の信頼や診療の質を支える存在です。
診療補助や処置スキル、患者説明の分かりやすさは、患者満足度やリピート率に直結し、経営面への影響も非常に大きくなります。
ところが、その評価は「経験年数が長いから安心」「資格を持っているから大丈夫」といった感覚的な判断に偏りやすいのが実情です。これでは本人の努力や成長が正しく反映されず、不満やモチベーション低下を招いてしまいます。

そこで今回は、有資格者スタッフの評価制度をどのように設計すればよいかを整理します。
共通して評価できる基本軸に加え、職種ごとの専門項目や成長段階別の基準、さらにKPIとの連動方法も取り入れ、医院全体で公平かつ納得感のある仕組みづくりを目指していきましょう。


目次

1. 有資格者スタッフの評価の難しさ

歯科衛生士や歯科助手などの有資格者スタッフは、専門知識と技術を持ち、患者さんの診療体験に大きな影響を与える重要な存在です。彼らの働きは医院の信頼や収益にも直結しますが、日々の成果が数値化しにくいという課題があります。そのため「よくやっている気がする」「経験年数が長いから安心」といった曖昧な基準に流れやすいのです。院長自身が評価に迷い、スタッフも納得できない状況を防ぐには、仕組みとしての評価制度が欠かせません。

こうした難しさを解消するには、スキル・行動・成果の3つの観点をバランス良く取り入れる評価基準が必要です。


2. 評価項目の設定例

有資格者の評価を行う際は、「専門技術」と「患者対応」、そして「組織貢献」を柱にした多角的な視点が求められます。評価の言葉が抽象的だと本人も改善点が分かりにくいため、観察できる行動や具体的なアウトプットを基準にすることが大切です。また、数値化できる項目を混ぜることで、感覚に偏らない評価につながります。

これらの項目を明文化することで、評価が感覚に偏らず、本人にとっても成長の方向性が明確になるのです。


3. 成長段階ごとの評価基準

評価制度を導入する際には、スタッフのキャリア段階を意識することが大切です。新人とベテランを同じ基準で評価すれば「不公平」と感じる人が出てしまいます。逆に、段階ごとに求める役割を整理すれば、自分の位置づけを理解しやすくなり、成長のステップが見えるようになります。これはスタッフのモチベーションを維持するうえでも効果的です。

成長段階に応じた基準を明示すれば、スタッフも「次は何を目指せば良いか」を理解できます。キャリアパスが見えることでモチベーション維持にもつながります。


4. KPIとの連動

有資格者スタッフの評価は、KPI(重要業績評価指標)と結びつけることでさらに具体性を増します。例えば、メンテナンス定着率、初診からの移行率、自費治療の説明率などです。

これらは医院経営の成果にも直結するため、スタッフの働きが「数字」として反映されます。ただし、個人だけに責任を押し付けず、チーム全体の指標と組み合わせて活用することが重要です。


5. 院長が意識すべき評価運用のポイント

有資格者は専門性が高いため、評価の妥当性に敏感であり「見られていない」と感じやすい職種です。だからこそ、評価制度を導入しただけで終わらせず、日々の働きを丁寧に観察し、適切にフィードバックする姿勢が求められます。透明性を高め、成長を支えるスタンスで運用すれば、制度は信頼を生むものになります。

制度を「査定」ではなく「成長支援の仕組み」として位置づけることが、スタッフの納得感を高めます。評価が信頼を生むかどうかは院長の姿勢次第なのです。


有資格者スタッフの評価は難しい側面がありますが、明確な項目設定と成長段階別の基準、さらにKPIとの連動を取り入れることで現実的に運用できます。公平で納得感のある仕組みは、スタッフの成長意欲を引き出し、医院全体の成果向上につながります。

次回は「評価結果の活かし方と運用のコツ」と題して、フィードバック面談や給与連動の工夫について具体的にご紹介します。

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