ピーター・F・ドラッカーは「マネジメントの父」と呼ばれ、経営の概念を“組織の哲学”として確立した人物です。
その中でも『イノベーションと企業家精神』は、単なる経営論ではなく、“変化を機会に変える”思考法を体系化した不朽の名著です。
医院経営においても、「現状維持」は衰退を意味します。
診療・人材・技術・集患など、変化の波をどう捉え、どう価値に変えていくか。
本書の原則は、まさに今日の医療リーダーが直面する課題に通じます。
『イノベーションと企業家精神』― 変化をチャンスに変える「創造するリーダー」 ―
1. イノベーションは“ひらめき”ではなく“習慣”である
ドラッカーは言います。
「イノベーションとは、体系的に行うものである。」
つまり、特別な才能や偶然ではなく、観察と分析によって生まれる行動の習慣なのです。
医院経営でも、「新しいことを思いつく」よりも
- スタッフの動線を見直す
- 患者満足のデータを整理する
- 技術や設備の変化に目を向ける
こうした“改善の積み重ね”こそがイノベーションの土台です。
日常の中に変化の兆しを見つけ、形にしていく姿勢が求められます。
2. 「変化の7つの機会」を見逃すな
本書の中でドラッカーは、イノベーションの種は次の7つの領域にあると述べています。
- 予期せぬ成功・失敗
- ギャップの存在(現実と理想のずれ)
- プロセスや構造の変化
- 業界や市場の変化
- 人口構造の変化
- 意識や価値観の変化
- 新しい知識・技術の出現
医院経営に置き換えれば、
「患者層の変化」「スタッフの働き方」「地域ニーズ」「AIやデジタル化」などがまさにそれにあたります。
これらの“変化”を恐れるのではなく、「チャンスのサイン」として活かす視点が必要です。
3. 医院経営における“企業家精神”とは
ドラッカーの言う“企業家精神(Entrepreneurship)”とは、
「既存の資源に新しい価値づけをすること」
医院経営で言えば、
- 既存の人材に新しい役割を与える
- 既存のサービスを新しい患者層へ届ける
- 院内の仕組みを社会に発信する
といった“再定義の力”です。
新しいことを始めるだけがイノベーションではなく、
既存を「別の視点で活かす」ことが最大の創造なのです。
4. リーダーは“変化を体系的にマネジメントする”
ドラッカーはこう述べます。
「変化を予測することはできない。だが、変化に備えることはできる。」
リーダーに求められるのは、変化を恐れず、仕組みとして取り込む力です。
たとえば、
- 定期的にチームで「課題と機会」を共有する
- データやアンケートをもとに小さな改善を繰り返す
- 変化を歓迎する文化を院内に根づかせる
このように、変化をコントロールする仕組みを作ることが真のマネジメントです。
それが“未来を創るリーダー”の条件だと、ドラッカーは教えてくれます。

まとめ
『イノベーションと企業家精神』は、「変化の時代」にこそ読むべきリーダーの教科書です。
革新とは大きな決断ではなく、小さな問いと気づきの積み重ね。
日常の中に新しい価値を見出す習慣こそ、医院経営の未来を切り拓く力です。
次回は第5回『君主論』(マキャベリ)を取り上げ、権威・判断・統率というリーダーシップの本質を探ります。
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