患者様がクリニックに対して抱く「満足」「感動」は、必ずしもサービスの質そのものでは決まりません。
心理学の視点では、人が感動するのは“実際の体験 - 事前の期待値”の差が大きい時です。つまり、期待より少し上回る対応を受けた瞬間に、人は強い印象や感動を覚えます。
医療現場では、治療の専門性だけでなく、声かけ・環境・案内などの細やかな接遇が期待値を超える効果を生み、患者様の「ここを選んで良かった」という感覚につながります。
本記事では、期待値の心理構造を踏まえながら、患者様が感動する接遇の仕組みを解説します。
患者様が感動するのは“期待値との差”で決まる
1. 期待値を知ることで、どこを上回れば良いかが見える
患者様は来院前に「自分が受けるであろうサービスのレベル」を無意識に想像しています。これが“期待値”です。
受付のスピード、スタッフの態度、説明のわかりやすさ、待ち時間など、患者様は多くを期待しないことも多く、医療現場では「普通でいい」という心理が働きます。だからこそ、この期待値を少し上回る対応をすると、感動が生まれます。
重要なのは、“高いサービス”ではなく“期待を超える部分がどこか”を理解することです。
- 想定より早い案内で待ち時間ストレスを軽減
- 丁寧な声がけで安心感を与える
- 先回りの説明で不安を解消する
- 表情や姿勢を意識して「感じの良さ」を演出
期待値を正しく理解すると、どこに力を入れれば感動が生まれるかが明確になります。
箇条書きの通り、期待値を少し上回るだけで印象は大きく変わります。高いサービスをする必要はなく、“ちょっとした差”の積み重ねが患者様の強い満足につながります。
2. 事前に説明されていると満足度が上がりやすい
人は「わからないこと」に不安を感じ、「わかっていること」には安心します。
医療現場では、患者様が初めての環境で情報不足に陥りやすいため、事前説明は期待値を整える効果があります。例えば「少し混雑しており、お待ちいただく可能性があります」と事前に伝えておくだけで、不満やストレスは大きく減ります。
一方、説明が不足すると患者様は「思っていたのと違う」と感じ、期待値とのギャップによって不満が生じます。ポイントは、“事前に期待値を適正にしておく”ことです。
- 待ち時間の見通しを伝える
- 今から行うことを簡潔に説明する
- 選択肢がある場合は先に提示する
- できないこと・難しいことも丁寧に伝える
期待値が整っていると、同じ体験内容でも「納得感」が生まれ、感動を感じる余地が広がります。
事前説明は患者様に安心を与えるだけでなく、「想像していたより良かった」というプラスの評価を引き出すための重要なステップです。
3. 小さな気遣いが“期待値超え”を生む
人は大きなサービスよりも、小さく自然に行われた気遣いのほうが強い印象を残します。
心理学ではこれを「好意の返報性」と呼び、相手が自分のために“少しだけしてくれたこと”が好印象につながるとされています。医療現場の患者様は緊張・不安の中にいるため、より繊細な気遣いが刺激として伝わりやすく、期待を超えた瞬間になるのです。
大げさなサービスではなく、無理なく続けられる小さな行動が、最も高い接遇効果を生みます。
4. マイナスの期待を“プラスに転換”することで感動は最大化する
人は不安や心配を抱えて来院することが多く、「どうせ混んでいる」「冷たく対応されるかも」と、無意識のうちにマイナスの期待をしている場合があります。
そんなときに温かく声をかけられたり、丁寧に説明されたりすると、期待値との差が大きくなり、強い感動として残ります。これは行動科学で“ギャップ効果”と呼ばれ、マイナス期待がプラスの印象をより強調する現象です。
医療現場はこのギャップが生まれやすく、感動を生みやすい環境と言えます。
- 否定ではなく肯定の言葉から始める
- 不安を受け止める姿勢を見せる
- 丁寧な案内で安心を与える
- 相手の状況に共感を示す
マイナス期待が前提の場面では、ちょっとした丁寧さでも非常に大きなプラス効果を生みます。
ギャップを利用することで、患者様は「思っていたよりずっと良かった」と感じ、医院への信頼が強く残ります。

まとめ
人が感動する仕組みは「期待していたレベルとの差」によって作られます。
医療現場では、患者様の不安や緊張から期待値が低いことも多く、小さな気遣いや丁寧な声かけが大きな感動につながります。
高いレベルのサービスではなく、期待を少しだけ上回る行動の積み重ねこそが医院の価値を高め、患者様に「ここを選んで良かった」と感じていただく最大のポイントです。
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