診療が忙しいと、「あと少し時間に余裕があれば」と感じることがあります。
診療時間そのものを短くすることは難しくても、院内をよく見てみると、診療とは直接関係のない小さな時間が積み重なっていることがあります。
必要な器具が見つからない。材料を取りに別の場所まで行く。在庫の場所が分からず他のスタッフに聞く。使ったものが元の場所へ戻っていない。
一つひとつは数十秒でも、一日に何度も繰り返されれば大きな時間になります。
整理整頓は、院内をきれいに見せるためだけのものではありません。今回は、院内の整理整頓が診療効率を左右する理由について考えてみましょう。
院内の整理整頓が診療効率を左右する理由
「探す時間」は何も生み出さない
必要なものを探している時間は、患者さんへの医療サービスにはつながりません。
- 必要なものの定位置を決める
- 誰でも分かるように表示する
- 使用後は必ず元の場所へ戻す
- 不要なものを保管し続けない
「あれ、どこにありますか?」という会話が頻繁に聞かれるのであれば、整理整頓を見直す必要があります。特定のスタッフだけが置き場所を知っている状態も効率的ではありません。
誰でも必要なものを迷わず取り出せる状態をつくることで、探す時間だけでなく、他のスタッフへ確認する時間も減らすことができます。
使用頻度を考えて配置する
すべてのものをきれいに収納していても、配置が悪ければ診療効率は上がりません。
- よく使うものは近くに置く
- 一緒に使うものをまとめる
- 使用頻度の低いものは別にする
- 実際の動線を見ながら配置する
例えば、一日に何度も使用するものを離れた収納場所まで取りに行っているのであれば、その移動自体が無駄になります。反対に、ほとんど使わないものが最も取りやすい場所を占有していることもあります。
「空いている場所へ収納する」のではなく、誰が、いつ、どこで使うのかを考えて配置することが重要です。
スタッフの動きを見れば改善点が見つかる
診療効率を改善するとき、診療時間や予約枠などの数字に目が向きがちですが、実際のスタッフの動きを観察することも重要です。
診療室とバックヤードを何度も往復している、同じ場所へ何人ものスタッフが物を取りに行っている、準備の途中で必要なものが足りないことに気付く。このような動きには、改善できる可能性があります。
例えば、診療内容ごとに必要なものをあらかじめセットにする、使用場所の近くへ配置する、準備する順番を統一するといった工夫によって、移動や準備にかかる時間を減らせることがあります。
大切なのは、スタッフに「もっと早く動いて」と求めることではありません。
スタッフが早く動かなくても仕事がスムーズに進む環境をつくることが、本当の診療効率改善です。
整理整頓を個人の努力にしない
整理整頓された状態を維持するには、医院全体のルールが必要です。
- 収納場所を院内で統一する
- 適正在庫を決める
- 補充方法を明確にする
- 定期的に配置を見直す
「気付いた人が片付ける」という方法では、いつも同じスタッフに負担が集中することがあります。また、新しいスタッフが入職するたびに置き場所を一つずつ教えるのも非効率です。誰でも同じ方法で使い、戻し、補充できるようにしておけば、整理整頓そのものが業務の一部になります。
さらに、診療内容やスタッフ数が変われば最適な配置も変わるため、定期的な見直しも必要です。

まとめ
院内の整理整頓は、単に見た目をきれいにするために行うものではありません。
必要なものを探す、遠くまで取りに行く、他のスタッフへ場所を聞く、足りないものを途中で補充するといった小さな無駄を減らすことで、診療の流れをスムーズにできます。
診療効率を改善しようとすると、スタッフに「もっと効率良く動いてほしい」と考えてしまうことがあります。しかし、その前にスタッフが無駄な動きをしなくても済む環境になっているかを確認することが重要です。
人の動きを速くするのではなく、無駄な動きそのものをなくす。その視点で院内を見直すと、整理整頓は立派な診療効率改善になります。
一度、診療中のスタッフの動きを観察してみてください。「探す・聞く・取りに行く」に使っている時間はありませんか?
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