仕事はできる。患者さんへの対応も特に問題はない。
ところが、他のスタッフに対する口調だけが厳しい。
「それ、前にも言いましたよね?」
「なんでまだできてないの?」
「普通は分かると思うけど」
本人としては仕事上必要なことを言っているだけかもしれません。しかし、言われた側は萎縮し、質問や相談がしにくくなっていることがあります。
特に経験の長いスタッフや仕事のできるスタッフの場合、周囲も注意しにくく、いつの間にか「そういう人だから」で済ませてしまいがちです。
しかし、問題にすべきなのは性格ではなく、職場でのコミュニケーションです。
今回は、他者への口調が厳しいスタッフに対して、どのように注意し、改善につなげればよいのかを考えてみましょう。
他者への口調が厳しいスタッフへの注意法
「口調がきつい」ではなく具体的な言動を伝える
本人に注意するとき、「あなたは言い方がきつい」とだけ伝えても改善につながらないことがあります。
- 実際にあった言葉や場面を伝える
- そのときの状況を確認する
- 周囲へどんな影響が出ているか伝える
- 改善してほしい行動を具体的に示す
「言い方がきつい」は受け取る側の評価でもあります。本人からすれば「普通に話しているだけです」となるかもしれません。そこで、「昨日、○○さんに対して『何回言えば分かるの?』と言っていました」と具体的な事実から話します。そのうえで、「注意すること自体ではなく、その伝え方を変えてほしい」と改善点を明確にします。
性格を直してほしいのではなく、職場での言動を変えてほしいと伝えることが重要です。
正しいことを言っていても伝え方は別問題
厳しい口調になるスタッフほど、「でも、私が言っていることは間違っていません」と考えていることがあります。
- 指摘内容の正しさと伝え方を分ける
- 必要な注意まで否定しない
- 相手を萎縮させる言い方は認めない
- どう伝えればよかったか一緒に考える
実際、そのスタッフが指摘している内容自体は正しいこともあります。だからこそ、「注意したことが悪い」としてしまうと本人も納得しません。「確認を忘れたことを指摘する必要はありました。ただ、その言い方は変えましょう」と分けて伝えます。そして、「次に同じことが起きたらどう伝えればよいと思う?」と考えてもらうことも有効です。
正しいことを言っているから、どのような言い方をしてもよいわけではないという基準を共有します。
本人に悪気がないケースほど具体的に教える
口調の厳しいスタッフが、意図的に相手を傷つけようとしているとは限りません。
むしろ本人は、「そんなにきつく言ったつもりはない」「普通に注意しただけ」と思っていることもあります。
そのような場合に、「もっと優しく言って」「感じ良く話して」と抽象的に注意しても、本人には何を変えればよいのか分かりません。
例えば、「なんでできてないの?」ではなく「どこで止まっている?」と確認する。「前にも言ったよね?」ではなく「前回説明したところで分からない部分はある?」と聞くなど、実際の言い換えまで示した方が改善しやすくなります。
また、本人に悪気がないからといって放置してよいわけでもありません。意図がどうであれ、その言動によって周囲が質問できなくなったり、職場の雰囲気が悪くなったりしているのであれば対応が必要です。
「悪気があるか」ではなく、「その言動が職場にどのような影響を与えているか」で判断することが大切です。
改善後も周囲の状況を確認する
一度注意しただけで、長年の話し方がすぐに変わるとは限りません。
- 注意した後の言動を確認する
- 改善した部分は本人に伝える
- 同じことがあれば再度具体的に指摘する
- 周囲が話しやすくなったかも確認する
注意した直後だけ気をつけ、しばらくすると元に戻ってしまうこともあります。そのため、継続して様子を見る必要があります。一方で、改善しているのであれば「最近、後輩への伝え方が変わったね」ときちんと伝えましょう。また、本人だけを見るのではなく、周囲のスタッフが質問や相談をしやすくなったかも重要です。
目的は言葉遣いだけを直すことではなく、スタッフ同士が必要なコミュニケーションを取れる職場にすることです。

まとめ
他者への口調が厳しいスタッフへの注意は、意外と難しいものです。
仕事のできるスタッフであれば、「注意して機嫌を損ねたくない」と考えることもあるでしょう。また、本人に悪気がなければ、「性格だから仕方ない」と済ませたくなることもあります。
しかし、その状態を放置すると、周囲のスタッフが質問や相談を避けるようになり、必要な情報まで共有されなくなる可能性があります。
注意するときには「性格がきつい」と人格を評価するのではなく、実際の言動を具体的に取り上げます。
そして、指摘した内容が正しかったとしても、伝え方には改善が必要であることを分けて伝えます。
仕事ができることと、周囲へ厳しい言い方をしてよいことは別です。スタッフ同士が安心して質問し、意見を言い、必要な指摘もできる関係をつくることも、医院にとって大切な組織づくりです。
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