医院で新しい取り組みを始めようとすると、必ずと言ってよいほど出てくるのがスタッフからの反発です。
「今までのやり方で問題ないと思います」
「それをやる意味が分かりません」
「また仕事が増えるんですか?」
院長としては医院を良くするために考えたことなのに、最初から否定的な反応をされれば、「だったらもういい」と言いたくなることもあるでしょう。
しかし、新しいことへの反発をすべて「やる気がない」「協調性がない」で片づけるのも少し違います。
人は慣れている方法を変えることに負担を感じますし、新しい取り組みの目的が分からなければ、「仕事だけ増やされる」と感じることもあります。
一方で、全員が納得するまで何も変えられないのでは医院も前へ進みません。
今回は、新しいことに反発するスタッフをどう巻き込み、医院として必要な変化を進めていけばよいのかを考えてみましょう。
新しいことに反発するスタッフをどう攻略する?
まず「なぜやるのか」を説明する
新しい取り組みを伝えるとき、やることだけを説明していないでしょうか。
- 現在どのような問題があるのか
- なぜ今のままではいけないのか
- 新しい取り組みで何を変えたいのか
- スタッフや患者さんにどんなメリットがあるのか
例えば、「来月からこの方法に変えます」と突然言われれば、スタッフには仕事が増えたようにしか見えないことがあります。「現在○○という問題が起きているため、それを改善するために変更する」と背景まで説明すれば、受け止め方は変わります。
すべてのスタッフが賛成するとは限りませんが、少なくとも「院長が思いつきで始めた」と思われない説明は必要です。
反対意見は一度きちんと聞く
反発するスタッフに対して、最初から「文句を言わずにやって」と押さえ込む必要はありません。
- 何が心配なのかを聞く
- 現場で困りそうなことを確認する
- 改善できる部分は取り入れる
- できないことは理由を説明する
実際に現場で働いているスタッフだからこそ気づく問題もあります。「この手順では忙しい時間帯に対応できません」といった意見には、仕組みを改善するヒントが含まれているかもしれません。一方で、単に「今までと違うから嫌だ」という反対まで受け入れる必要はありません。反対意見を聞くことと、反対されたからやめることは別です。
意見は聞き、必要な修正をしたうえで、医院として必要なら実行します。
全員を納得させてから始めようとしない
新しいことを始めるとき、「スタッフ全員が納得してから進めたい」と考える院長もいるでしょう。
しかし、全員が最初から前向きに賛成することは現実にはなかなかありません。
新しい仕組みを面白いと感じる人もいれば、様子を見てから判断したい人もいます。そして、実際にやってみて便利さや効果を実感してから納得する人もいます。
そのため、全員の気持ちがそろうまで待つのではなく、まず協力的なスタッフと始め、小さな成果をつくって見せる方法も有効です。
「やってみたら以前より楽になった」「患者さんから良い反応があった」「ミスが減った」といった実際の結果が出れば、最初は反対していたスタッフの見方が変わることもあります。
人を説得してから動かすだけでなく、動いた結果を見せることで納得してもらうという順番もあります。
最後は医院として決める
スタッフの意見を聞くことは大切ですが、医院の方針まで多数決で決める必要はありません。
- 意見を聞く期間を設ける
- 必要な修正を行う
- 決定事項を明確に伝える
- 実施後に結果を検証する
十分に意見を聞き、検討したのであれば、最後は「医院としてこれを行います」と決めることも必要です。決定した後も一人だけ従わない、以前の方法を続けるという状態を認めれば、新しい仕組みは定着しません。ただし、一度決めたから絶対に変えないということでもありません。実施して問題があれば修正すればよいのです。
意見を聞くことと意思決定すること、実行することと検証することを分けて考えることで、変化を進めやすくなります。

まとめ
新しいことに反発するスタッフがいると、院長側も「面倒だから今のままでいいか」と考えたくなることがあります。
しかし、それを繰り返していると、医院は最も変化を嫌うスタッフに合わせて運営されることになります。
まず、なぜ変更するのかを説明する。そして反対意見にも一度耳を傾けます。
その中に現場として合理的な意見があれば取り入れ、改善すればよいでしょう。
それでも医院として必要な取り組みであれば、最後は責任者が決めて実行します。
重要なのは、スタッフを言い負かすことではありません。
「反対するスタッフを攻略する」とは、その人を無理に賛成させることではなく、意見を聞くところと医院として決めるところの線を引き、必要な変化に参加してもらうことです。
新しいことへの反発そのものをなくす必要はありません。反発があっても前へ進める仕組みをつくることの方が重要です。
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