「昔より経営者にとって厳しい時代になった」
医院の院長や経営者から、そんな話を聞くことがあります。
スタッフには強く言いにくい。働き方への配慮も必要。給与や待遇も改善しなければ採用できない。それでも簡単には人が集まらず、せっかく採用しても辞めてしまう。
患者さん側も医院を選ぶための情報を簡単に得られるようになり、評判や口コミも広がりやすくなりました。
一方で、昔の経営者が楽だったわけでもありません。それぞれの時代に違った難しさがあります。
ただし、経営者に求められる役割が以前より多くなっているとは考えられます。
今回は、今の医院経営者が感じる「経営の難しさ」について考えてみましょう。
今は昔より経営者にとって厳しい時代⁉
「雇ってあげる」から「選ばれる職場」へ
人材採用や定着については、経営者側の考え方を変える必要があります。
- 給与や休日などの条件を整える
- 働きやすい職場環境をつくる
- 教育や成長の機会を用意する
- スタッフからも選ばれる医院を目指す
「給料を払っているのだから、言われたとおりに働くのは当然」という考え方だけでは、人材を定着させることが難しくなっています。スタッフも職場を選びますし、入職後に「ここでは働き続けられない」と感じれば転職を考えるでしょう。もちろん、スタッフの希望を何でも聞けばよいわけではありません。経営者が人を選ぶだけではなく、スタッフからも職場として評価されているという意識が必要になっています。
「黙ってついてこい」では組織が動きにくい
スタッフのマネジメントについても、求められるものは変化しています。
- 方針の理由まで説明する
- スタッフの意見にも耳を傾ける
- 必要な指導は具体的に行う
- 納得と規律の両方をつくる
以前であれば、「院長が決めたからやる」で通った場面もあったかもしれません。しかし現在は、「なぜそれをするのか」を説明し、スタッフに理解してもらいながら進めることがより重要になっています。一方で、何でもスタッフの同意を得なければ決められない組織でも経営はできません。説明する、意見を聞く、そして最後は経営者が決める。このバランスが以前にも増して求められています。
患者さんからもスタッフからも評価される
現在の医院経営では、診療だけをきちんとしていれば経営者の役割が終わるわけではありません。
患者さんはホームページや口コミなど、さまざまな情報から医院を比較できます。スタッフ側も求人情報だけでなく、医院の雰囲気や働き方について多くの情報を得られるようになりました。
そのため、院長自身が気づいていない医院の問題が、患者さんや求職者には見えていることもあります。
さらに、接遇、教育、人事評価、採用、労務、情報管理、集患、経営数字など、院長が考えなければならないテーマも多岐にわたります。
すべてを院長一人で専門家レベルまで理解する必要はありません。しかし、「自分は診療だけしていれば、あとは誰かがやってくれる」という経営は難しくなっています。
医療の専門家であると同時に、組織を運営する経営者としての視点も必要になっているのです。
厳しい時代だからこそ「仕組み」で経営する
経営者がやることが増えたからといって、すべてを自分で抱え込む必要はありません。
- 院内ルールを明確にする
- 業務をマニュアル化する
- 教育や面談を仕組みにする
- 数字で経営状況を確認する
スタッフに問題が起きるたびに院長が個別対応する。退職者が出るたびに慌てて求人を出す。売上が落ちてから集患を考える。このような経営では、院長の負担は増える一方です。採用、教育、評価、患者対応、経営管理などをできるだけ仕組みに変え、定期的に確認する方が安定します。経営環境が複雑になったからこそ、「院長が頑張る経営」から「医院として回る経営」へ変えていく必要があります。

まとめ
今は昔より経営者にとって厳しい時代なのか。
単純に比較することはできません。
昔には昔の経営環境があり、その時代の経営者にも多くの苦労があったはずです。
ただ、現在の医院経営では、患者さんへの対応だけでなく、スタッフの採用・定着、働き方への配慮、教育、組織づくり、情報発信、経営管理など、院長が考えなければならないことが非常に多くなっています。
だからこそ、昔ながらの「院長についてくればいい」という経営だけでは対応しにくくなっています。
一方で、スタッフに気を遣い過ぎて、必要な指導や意思決定までできなくなってもいけません。
今の経営者に求められているのは、厳しくすることでも優しくすることでもありません。説明し、意見を聞き、ルールをつくり、必要なことは決める。そして院長個人の力だけに頼らず、医院を仕組みで動かしていくことです。
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