求人条件を考えるとき、院長からよく出るのが、
「やっぱり給与を上げないと応募は来ない?」
「最近の人は給与より休みを重視するの?」
という疑問です。
採用する側からすれば、給与を上げれば人件費が増えます。一方、休日を増やせば診療体制やシフトに影響します。
できれば求職者が重視する方を充実させたいところでしょう。
しかし、実際の求職者の価値観はそれほど単純ではありません。
給与を最優先する人もいれば、休日を重視する人もいます。さらに勤務時間、通勤距離、人間関係、仕事内容などを含めて判断する人もいます。
大切なのは、「給与か休みか」という二択ではなく、自院がどのような人に選ばれたいのかを考えて条件を設計することです。
給与と休み どっちが大事?求職者の本音は…
給与はやはり無視できない
「最近は給与より休み」と言われることがありますが、だからといって給与が重要ではないわけではありません。
- 周辺医院と比べて極端に低くない
- 仕事内容と給与のバランスが取れている
- 昇給など入職後の見通しが分かる
- 求人票の給与条件が明確になっている
求職者は複数の求人を比較しています。似た仕事内容、似た勤務時間で一方の給与が明らかに高ければ、当然それは判断材料になります。ただし、地域で一番高い給与を提示しなければ採用できないということでもありません。
給与は「高ければ勝ち」ではなく、「この仕事内容、この働き方なら納得できる」と思ってもらえる水準になっているかが重要です。
休日は「日数」だけでは判断されない
休みについても、年間休日数だけを増やせば魅力的な求人になるとは限りません。
- 週に何日休めるのか
- 希望休を取りやすいのか
- 有給休暇を利用しやすいのか
- 仕事と生活を両立しやすい勤務時間か
例えば同じ週休2日でも、曜日が固定されているのか、シフト制なのかによって受け止め方は変わります。また、終業時間が遅ければ、休日数だけでなく平日の生活時間を重視する人には選ばれにくいかもしれません。
「年間休日○日」という数字だけでなく、入職したらどのような生活になるのかを求職者がイメージできる情報を示すことが大切です。
求職者の「本音」は一つではない
給与と休みのどちらを重視するかは、求職者によって違います。
若いうちは収入を増やして経験を積みたい人もいるでしょう。家庭との両立を考えて、勤務時間や休日を優先する人もいます。多少給与が下がっても通勤時間を短くしたい人もいれば、興味のある仕事や成長できる環境なら条件面で多少譲れるという人もいます。
つまり、「求職者は給与より休みを重視している」と一括りにして採用条件を決めることには無理があります。
さらに、応募時に重視する条件と、入職後に長く働きたいと思う理由も同じとは限りません。
給与や休日を見て応募し、実際に働いてみて、人間関係や院長との関係、仕事のやりがい、教育体制などによって定着を判断することもあるでしょう。
求職者の本音を一つの答えにしようとするより、「どのような働き方を求める人に自院へ来てほしいのか」を考えた方が採用条件をつくりやすくなります。
「給与も休みも最高」にできないから採用戦略が必要
経営側からすれば、給与を上げながら休日も増やし、勤務時間も短くできれば理想的です。しかし、医院経営には当然限界があります。
- 自院の強みとなる条件を決める
- 採用したい人物像を明確にする
- 弱い条件を別の魅力で補う
- 求人原稿で強みをきちんと伝える
例えば、給与では周辺医院に勝てなくても、終業時間が早い、教育体制が整っている、休暇の予定を立てやすいなど、別の魅力があるかもしれません。反対に忙しく休日も多くない医院なら、その分給与や経験できる仕事などに魅力を持たせる考え方もあります。
すべての求職者に選ばれる必要はありません。自院の条件を理解したうえで、「この働き方なら自分に合っている」と感じる人へ魅力を伝えることが採用戦略です。

まとめ
「給与と休み、どちらが大事なのか?」
医院側としては答えを知りたくなる質問です。
しかし、求職者全員に共通する答えはありません。
給与を重視する人もいれば、休日を重視する人もいます。勤務時間、通勤、仕事内容、教育環境、人間関係などを含めた総合的な条件で判断する人もいます。
だからこそ、他院が休日を増やしたから自院も増やす、給与を上げたから自院も上げるという追いかけ方だけでは、採用条件は際限なく厳しくなってしまいます。
まずは周辺の求人条件を知る。そのうえで自院がどこなら競争できるのか、どのような人に来てもらいたいのかを考えることが必要です。
そして、自院の魅力があるのなら、求人票でしっかり伝えなければ求職者には存在しないのと同じです。
給与か休みかの二択ではなく、「この医院で働くとどのような生活・仕事ができるのか」。求職者は、その全体を見て職場を選んでいます。
一度、自院の求人を求職者の立場で見直してみてください。給与や休日の数字だけでなく、「ここで働きたい」と思える理由まで伝えられていますか?
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