新人スタッフが入職すると、
「誰が教えるのか」
という問題が必ず出てきます。
その解決策として、先輩スタッフをメンターや教育担当者として決め、新人をサポートする医院もあります。
教える人が明確になれば、新人も質問しやすくなります。一方で、メンターとなったスタッフに負担が集中したり、その人の教え方によって新人教育に差が出たりすることもあります。
では、新人スタッフ教育にメンター制度は必要なのでしょうか。
大切なのは制度を導入することではありません。「誰が、何を、どこまで教えるのか」を明確にし、新人を医院全体で育てられる仕組みをつくることです。
新人スタッフ教育にメンター制度は必要か
メンターを決めるメリットは「聞く相手」が明確になること
新人にとって、質問する相手が決まっていることには大きなメリットがあります。
- 分からないことを質問しやすい
- 教える内容の重複や漏れを減らせる
- 新人の習得状況を把握しやすい
- 不安や困り事を早めに確認できる
新人が困るのは、「分からないこと」だけではありません。「これを誰に聞けばよいのか分からない」という状況も大きな負担になります。先輩によって言うことが違えば、さらに混乱するでしょう。
メンターを決めることで、新人にとっての相談窓口をつくることができます。教える人を決めること以上に、「困ったときにこの人に聞けばよい」という安心感をつくれることがメリットです。
メンター一人に教育を丸投げしない
メンター制度を導入すると起こりやすいのが、「新人教育は○○さんの仕事」という状態です。
- 専門的な内容は適任者が教える
- 院内ルールは共通した内容を教える
- 院長も新人の状況を確認する
- 周囲のスタッフも新人をサポートする
メンターにも通常業務があります。新人からの質問、業務の確認、練習、振り返りまで一人ですべて担当すれば、大きな負担になります。また、一人に任せ過ぎれば、そのスタッフ独自の仕事のやり方まで「医院のやり方」として教えてしまう可能性もあります。
メンターは新人教育の責任を一人で背負う人ではなく、新人と医院をつなぐ中心的な役割と考えた方がよいでしょう。
「教えるのが上手な人」を選ぶ必要がある
経験年数が長いスタッフや仕事ができるスタッフを、そのままメンターにする医院もあります。
しかし、自分が仕事をできることと、人に仕事を教えられることは別です。
「見れば分かるでしょ」「私のときは自分で覚えた」と考える人がメンターになれば、新人は質問しにくくなります。
反対に、何でも先回りしてやってあげる人では、新人が自分で考える機会を失うこともあります。
新人の理解度を確認しながら説明できること、できていないことを適切に指摘できること、質問しやすい関係をつくれることなど、教える側にも一定の能力が必要です。
「一番仕事ができる人」ではなく、「人を育てる役割を任せられる人」という視点でメンターを選ぶことが重要です。
メンター制度より先に教育の仕組みをつくる
メンターを決める前に、医院として新人教育の内容を整理しておきましょう。
- 新人が覚える業務を一覧にする
- 習得する順番や期間を決める
- 教えた内容を記録する
- 定期的に習得状況を確認する
こうした仕組みがなければ、誰がメンターになっても本人の経験や感覚に頼った教育になりやすくなります。「前の新人には教えたのに今回は教えていなかった」ということも起こるでしょう。
チェックリストやマニュアルがあり、進捗を確認する仕組みがあれば、メンターが変わっても教育内容を一定にできます。新人教育の中心に置くべきなのはメンター個人ではなく、医院としての教育の仕組みです。

まとめ
新人スタッフ教育に、必ずメンター制度が必要というわけではありません。
ただし、質問や相談をする相手が明確になり、新人の状況を継続して確認できることには大きなメリットがあります。
一方、メンター一人に教育を任せてしまえば、本人の負担が増え、教育内容にもばらつきが出ます。
メンターを置くなら、教育を丸投げするのではなく、医院全体で新人を育てる仕組みの中で役割を明確にしましょう。
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