「患者さんの前で、ついスタッフを叱ってしまった」
忙しい診療中、スタッフのミスや不適切な対応に、思わず強い口調になってしまうことはないでしょうか。
しかし、患者さんの前でスタッフを叱責することは、本人だけでなく、患者さんや医院全体にも悪影響を及ぼす可能性があります。
もちろん、医療安全に関わる問題など、その場で訂正すべきこともあります。
大切なのは、必要な指示や訂正と、感情的な叱責を区別することです。
患者さんの前でスタッフを注意してはいけない理由~院長の指導が医院の信頼を損なうこともある~
患者さんの前でスタッフを注意する4つの問題
スタッフへの指導は必要ですが、注意する場所や方法によっては逆効果になります。
- 患者さんに不安を与える
- 医院全体の印象が悪くなる
- スタッフの自尊心を傷つける
- スタッフが萎縮してしまう
例えば、診療中に院長がスタッフに対して「何回言ったら分かるんだ!」と強い口調で注意したとします。
患者さんは、スタッフが叱られている様子を見て、居心地の悪さを感じるかもしれません。また、「この医院は大丈夫だろうか」と不安になる可能性もあります。
スタッフへの注意は、院長とスタッフだけの問題ではありません。患者さんは、スタッフ同士のやり取りからも医院の雰囲気や信頼性を判断しているのです。
叱責がスタッフの成長を妨げることもある
人前で注意されたスタッフは、どのような気持ちになるでしょうか。
- 恥ずかしさや屈辱を感じる
- ミスを隠そうとする
- 自分で判断することを避ける
- 院長への信頼を失う
特に、患者さんやほかのスタッフが見ている前で強く叱られると、本人は指導内容よりも、叱られたこと自体に意識が向いてしまうかもしれません。
その結果、同じミスを繰り返さないために考えるよりも、「次は怒られないようにしよう」という気持ちが強くなることがあります。
指導の目的は、スタッフを反省させることではなく、次から適切に行動できるようにすることです。
その場で正すべきことと、後から指導すべきこと
では、患者さんの前では、スタッフの間違いを一切指摘してはいけないのでしょうか。
もちろん、そうではありません。
例えば、患者さんの取り違えや、医療安全に関わる確認漏れなどがあれば、その場で対応する必要があります。
このような場合には、患者さんの安全を最優先に、必要な指示や訂正を行わなければなりません。
ただし、その際にもスタッフを感情的に叱責する必要はありません。
「一度確認しましょう」「こちらの手順でお願いします」といった落ち着いた言葉で対応することは可能です。
一方、仕事の進め方や接遇態度、業務上の改善点など、緊急性の低い内容であれば、患者さんのいない場所で指導する方が適切でしょう。
また、注意する際には、何が問題だったのか、次からどうすればよいのかを具体的に伝えることが大切です。
「どうしてこんなこともできないんだ」と責めるよりも、「この場面では、先に患者さんへ確認してから対応してください」と伝える方が、スタッフも改善すべき行動を理解できます。
その場で必要な訂正は行い、教育としての指導は落ち着いた環境で行う。この使い分けが重要です。
スタッフを育てるために院長が意識したい4つのこと
スタッフへの指導は、医院の組織づくりにも大きく関わります。
- 感情的にならず、事実を確認する
- 注意する場所とタイミングを選ぶ
- 問題点と改善方法を具体的に伝える
- スタッフが質問や相談をしやすい環境をつくる
例えば、患者さんへの説明が不十分だったスタッフに対して、その場で厳しく叱るのではなく、診療後に「先ほどの説明で、患者さんに伝わりにくかった部分はどこだと思いますか」と問いかける方法もあります。
院長が目指すべきなのは、スタッフが怒られないように働く医院ではなく、安心して学び、成長できる医院です。

まとめ
患者さんの前でスタッフを叱責することは、患者さんの不安や医院への不信感につながる可能性があります。
また、スタッフの自尊心を傷つけ、成長を妨げることもあります。
もちろん、医療安全に関わる問題などは、その場で適切に訂正しなければなりません。
重要なのは、必要な指示と感情的な叱責を区別し、スタッフの成長につながる指導を行うことです。
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