医療機関での接遇は「言葉」「声」「表情」だけではありません。実は“立ち姿”や“動き方”といった非言語のふるまいが、患者さんの心理に強い影響を与えています。
特に院内での「歩くスピード」や「立ち位置」は、無意識のうちに医院の印象を左右し、「丁寧」「安心できる」「信頼できる」と感じてもらえることもあれば、「忙しそう」「冷たそう」「話しかけづらい」など逆効果となることもあります。非言語は隠しようがなく“そのまま伝わる接遇力”。
今回は、歩き方と立ち位置の視点から、患者心理への影響を整理します。
スタッフの歩くスピード・立ち位置が患者心理に与える影響
スタッフの“歩く速さ”は医院の空気をつくる
歩くスピードは、患者さんに「忙しさ」「緊張感」「余裕のなさ」を感じさせやすい行動です。スタッフが常に早歩きしている医院は、「慌ただしい」「落ち着かない」「余裕がなさそう」と映りやすく、安心感が薄れます。
逆に、ゆっくりしすぎても「だるそう」「やる気がない」という印象になるため、“適度な速度”が重要です。患者さんは診療前後、気持ちが高ぶっていることが多く、歩くスピードひとつで不安が強まることさえあります。
● 早すぎる歩行 → 圧迫感・緊張・置き去り感
● 遅すぎる歩行 → 無関心・消極的・仕事感の薄さ
● 静かに丁寧に動く → 落ち着き・安心・信頼感
● 立ち止まって説明する → 気持ちに寄り添う印象
● 患者さんと歩調を合わせる → 配慮・優しさが伝わる
スタッフが「急いでいるように見えない動き方」を意識するだけで医院の印象は変わります。
スタッフの“立ち位置”が生む心理的距離
立ち位置は、声や言葉以上に「態度」を伝える非言語コミュニケーションです。患者さんの正面に立ちすぎると圧迫感が生まれ、距離が近すぎれば威圧的と感じられることもあります。ほんの少し角度を変えるだけでも、患者さんが受け取る安心感は大きく変わります。
立ち位置は意図していなくても“心の距離”として相手に届いてしまうため、無意識のクセほど危険です。
● 正面に立ちすぎない ― 斜め45度が理想的な距離感
● 立って説明する際は相手と同じ視線の高さに
● 近づきすぎは圧迫感、離れすぎは無関心に映る
● 説明中は常に「患者さんの逃げ場」を意識する
● 意図せず後ろに立つと“監視”のような印象に
視線と身体の向きも含めて「立ち位置」は接遇の一部と考えましょう。
動き方と空間の使い方を“接遇として磨く”
動きは個人のクセに左右されやすいからこそ、医院全体で整えることが価値になります。
歩くスピード・立ち位置・動作の方向を揃えると、院内に統一感が生まれ、患者さんは自然と「ここの医院は丁寧だ」と感じます。逆に、動作がバラバラだと、どれほど丁寧な言葉を使っても“雑な印象”が残りやすくなります。
非言語の接遇は、日々の空間づかい・歩幅・モーションを「見られている意識」で磨くことが大切です。“落ち着いて動く医院”は、治療の質まで高く見える――それほど非言語は医療接遇の印象を左右します。
院内で共有できる“動き・立ち位置のルール化”
非言語は統一すればするほど「接遇文化」になります。個人の感覚ではなく、医院としての基準を持つことが重要です。
● 歩行速度は「早歩きしない」を全員で意識
● 患者さん対応時は立ち止まり、向き直る
● 説明時は半歩斜めで“圧迫感”を防ぐ
● 椅子に座る患者さんには視線を合わせる高さに
● スタッフ同士で動作を観察・指摘し合う習慣
院内の動きが整うと、医院全体が「落ち着きのある空間」に変わります。
“動きの美しさ”は、言葉より先に「信頼」をつくるのです。

まとめ
非言語コミュニケーションにおいて、歩くスピードと立ち位置は言葉より強い印象を与えます。落ち着いた動きは安心を、適切な距離感は信頼を生みます。
どれほど丁寧な言葉を使っていても、歩き方が慌ただしかったり立ち位置に圧迫感があると、患者さんは無意識のうちに不安を抱きます。動きはごまかせず、必ず伝わります。
「丁寧に見える動き方」を組織で意識し続けることで、医院の空気は静かに整い、患者さんの心理的負担は大きく軽減されるのです。
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