クリニックにおける電話対応の基本──患者さんの信頼を築く第一歩

患者さんが初めてクリニックに接する場面は、必ずしも受付や診療室とは限りません。
むしろ多くの場合は、来院前の電話が最初の接点となります。
その一本の電話で、医院の印象や信頼度が決まってしまうことも珍しくありません。

電話越しの声や言葉遣い対応のスピードや雰囲気は、患者さんにとって医院の「顔」となります。
だからこそ、基本を押さえた対応ができているかどうかは、日々の診療の質や患者さんの満足度に直結します。

ここからは、クリニックでの電話対応において必ず身につけておきたい基本について整理していきます。


目次

1. 電話対応は「医院の顔」

クリニックの電話対応は、患者さんとの最初の接点です。
来院前の段階で声だけで医院の印象を決めるため、対面接遇と同じか、それ以上に慎重な姿勢が求められます。

患者さんは電話をかけるときに、少なからず不安や緊張を抱えています。
「この医院で診てもらえるだろうか」「症状をうまく伝えられるだろうか」など、心理的なハードルは想像以上に高いものです。
そこで感じの良い対応ができれば、「ここなら安心」と来院意欲が高まります。逆に、雑な対応や冷たい印象を与えれば、来院をやめてしまう可能性もあります。


2. 電話対応の3つの基本姿勢

(1) 迅速に応答する

目安は3コール以内。遅れると「忙しそう」「取り合ってもらえないかも」と感じられます。
特に初めてかけてきた患者さんは、対応の遅さを医院全体の対応力に重ねて評価する傾向があります。

(2) 明るく・はっきり・落ち着いて

声は表情や姿勢の影響を受けます。笑顔を作り、背筋を伸ばして応答すると、自然と明るい声になります。

(3) 名乗りを正しく行う

「お電話ありがとうございます。〇〇クリニック、受付の△△でございます」と、医院名と担当者名をはっきり伝えます。
これにより患者さんは「きちんと対応してもらえる」という安心感を持ちます。


3. 基本の会話フロー

電話対応は「聴く → 確認 → 応える」の流れを意識します。


4. よくある場面別の基本対応

予約の問い合わせ

  • 希望日時と症状を確認し、最適な枠を案内。
  • 混雑時は「〇時以降ですと比較的お待たせしません」など代替案を提案

症状・診療内容の相談

  • 医療判断はせず、「診察で詳しく拝見いたします」と案内。
  • 緊急性が疑われる場合は、すぐの受診や救急案内を促す。

道案内

  • 目印やランドマークを交えて説明。
  • 「もし分からなければ再度お電話ください」とフォローする。

5. 言葉遣いの基本と注意点

また、業界特有の専門用語はできるだけ避け、患者さんの立場で分かる言葉に置き換えます。
例えば「再診」ではなく「前にお越しいただいたときからの診察」と表現するなど、小さな配慮が信頼感につながります。


6. 電話中の態度が声に表れる

座ったまま背中を丸めたり、無表情で話したりすると声がこもり、暗い印象になります。
可能であれば立って対応する、笑顔を意識する、語尾まできちんと発声するなど、身体の使い方を意識しましょう。


7. 情報の記録と共有

電話のやり取りは必ずメモに残し、関係スタッフと共有します。
これにより「誰が対応しても同じ品質」を保てます。
特に患者さんからの要望や苦情は、必ず詳細に記録し、引き継ぎミスを防ぎましょう。


8. よくある失敗と防止策

こうした小さな改善が、電話対応の印象を大きく変えます。

電話対応は患者さんとの「最初の信頼構築の場」です。
迅速・明確・丁寧の三原則を守り、医院全体で統一した対応を行うことで、来院前から信頼感を高められます。
まずは全スタッフで基本ルールを共有し、繰り返し確認することが、質の高い接遇の土台となります。

次回は、この基本を踏まえ、イレギュラーな要望やクレーム対応、予約変更など応用的な場面での対応方法を解説します。
さらに次々回では、患者さんの心をつかむ一歩上の工夫や、医院の信頼を飛躍的に高める極意についてお伝えします。


▶次回「クリニックにおける電話対応の応用 予期せぬ場面でも信頼を守るための実践ポイント」はこちら

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