ネガティブな情報を優しく伝える方法

医療現場では、患者様にとって聞きたくない情報をお伝えしなければならない場面があります。

待ち時間の延長、治療内容の変更、費用が想定より高くなること、希望に添えない対応など、ネガティブな情報は相手の感情を強く揺らします。伝え方を誤ると不満や不信感につながりますが、言い方や順番を工夫するだけで受け止め方は大きく変わります。

本記事では、心理学の原則をもとに、“優しく・正確に・トラブルなく”ネガティブな情報を伝えるための接遇スキルをまとめます。


目次

1. 結論をいきなり言わず“ワンクッション”を置く

ネガティブな情報を突然伝えると、人は防御反応を起こしやすくなります。心理学では「拒否反応」と呼ばれ、急に不利な情報を受けると感情が先に動いてしまい、内容を正しく理解しにくくなるのです。

そのため、まずは相手の気持ちを受け止めるワンクッションを挟むことで、聞く姿勢を整えてもらう必要があります。いきなり「できません」「時間がかかります」と伝えるのではなく、まず丁寧な前置きを入れるだけで印象が大きく変わります。

ワンクッションがあると相手の心理的抵抗が下がり、ネガティブな内容も冷静に受け取りやすくなります。


2. ネガティブ情報は“短く・正確に・淡々と”伝える

ワンクッションのあとに必要なのは、感情的にならず、事実を短く正確に伝えることです。説明が長くなるほど相手は不安になり、「何か隠しているのでは」と疑念を抱きやすくなります。

心理学的には、ネガティブな内容ほど“情報量を最小限にする”ことが、相手の負担を軽くする効果があります。淡々と丁寧に伝えることで、「感情ではなく事実として知らせてくれている」と認識され、信頼を損なうことなく説明ができます。

ネガティブ情報は短く・正確に伝えられるほど、患者様の心理負担は小さくなります。


3. 最後に“代替案”を添えることで安心感が生まれる

ネガティブな情報を受け取った患者様は、不安や失望を感じるため、心が空白の状態になります。

そのまま終えると不満が残りやすいため、「代わりにできること」を必ず添えることが重要です。行動科学では“代替案提示効果”として知られ、問題点を提示した後に選択肢を示されると、相手は安心し、前向きに受け止めやすくなります。

できないことではなく、できることに意識を向けてもらうための大切な一言です。


4. 患者様の感情を受け止めるだけで印象が大きく変わる

ネガティブな情報に対して、患者様が落ち込んだり、不満を口にしたりするのは自然な反応です。否定したり言い返したりせず、まずは感情をそのまま受け止めることが大切です。

「共感+事実の再説明」を行うことで、人は安心し、相手への信頼を取り戻します。これは心理学で“情動の受容”と呼ばれ、自分の気持ちを理解してくれた相手に対して、好意を抱きやすくなる効果があります。

医療現場では、感情を否定しない姿勢が接遇の質を大きく高めます。

共感の一言があるだけで、患者様はネガティブな情報も冷静に受け止めやすくなります。


ネガティブな情報を優しく伝えるためには、「順番」「声の質」「言葉の選び方」がとても重要です。

事実そのものではなく、伝え方によって患者様の受け止め方は大きく変わります。ワンクッション、簡潔な説明、代替案、共感という4つの流れを意識することで、患者様の不安を最小限にし、信頼関係を守ることができます。

小さな一言や丁寧な態度が、結果として医院全体の評価につながっていきます。


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