数字と組織の両方を背負わせる ―プレイヤー視点から経営視点へ切り替える

分院長育成が途中で止まる医院には、共通した壁があります。
それは「診療は任せたが、数字と組織は任せていない」状態です。

多くの分院長候補は、日々の診療には責任を持っていても、売上・コスト・人の問題には距離があります。その結果、分院は“診療は回っているが、成長しない組織”になります。
分院長とは、診療責任者ではなく、経営の一部を背負う存在です。

本記事では、分院長をプレイヤーから経営視点へ切り替えるために、なぜ「数字と組織」を同時に背負わせる必要があるのかを整理します。


目次

1. 数字を背負わない分院長は、経営判断ができない

分院長が数字を見ていない医院では、判断が感覚的になります。「忙しい」「大変そう」「現場が回っていない気がする」といった主観で動くため、改善が場当たり的になります。数字を背負わない限り、判断の基準は持てません

数字は管理のためではなく、判断のためにあります。分院長が数字を背負わない限り、経営視点は育ちません。


2. 組織を背負わせないと「院長依存」が残り続ける

数字だけを任せ、組織運営を本院が抱えたままにすると、分院長はいつまでも判断を避けます。スタッフ対応、トラブル処理、空気の調整を院長が行っていれば、分院長はプレイヤーのままです。

組織を背負うとは、すべてを一人で抱えることではありません。判断と調整の責任を持つ立場に立たせることです。


3. 数字と組織は「同時に」背負わせなければ育たない

分院長育成でありがちな誤りは、段階的に任せすぎることです。まず診療、次に数字、最後に組織、と分けてしまうと、分院長の視点は切り替わりません。

数字だけを見れば現場が荒れ、組織だけを見れば収益が落ちます。分院長の役割は、その両立にあります。数字と組織を同時に背負うことで初めて、「なぜこの判断が必要か」「何を優先すべきか」という経営的な思考が育ちます。

これは才能ではなく、役割によって形成される視点です。


4. 背負わせるとは「責任を渡す設計」をすること

分院長に数字と組織を背負わせる際、最も重要なのは設計です。精神論で任せると、必ず破綻します。背負わせるとは、責任範囲を明確にし、判断できる状態をつくることです。

この設計があるからこそ、分院長は判断を引き受けられます。責任だけを渡すのではなく、判断できる環境を渡すことが育成です。


分院長育成が途中で止まる最大の原因は、役割が中途半端なままだからです。

診療は任せたが、数字は見せていない。組織は任せたいが、判断は本院がしている。この状態では、分院長はいつまでもプレイヤーの延長に留まります。

分院長は、診療・数字・組織を同時に扱う立場です。どれか一つを切り離して育てることはできません。数字を背負わせることで判断が現実的になり、組織を背負わせることで視点が上がります。この両立ができて初めて、経営に近い判断ができるようになります。

分院長育成とは、優秀なドクターを増やすことではありません。経営の一部を担える人材を育てることです。

そのためには、数字と組織を同時に背負わせる設計が不可欠です。


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