事務長を採用・配置しただけでは、その力を最大限に引き出すことはできません。
役割を明確にし、業務を移譲しても、評価と成長支援がなければ、モチベーションが下がり、成果も停滞します。
特に事務長は、現場スタッフと院長の両方に挟まれる立場。日常業務はもちろん、経営的視点も求められ、常に高いプレッシャーの中で働きます。
今回は、事務長を医院の要として活かし続けるための「評価制度」と「成長支援」のポイントを解説します。
クリニックの事務長シリーズ➂──事務長の評価制度と成長支援
1. 評価制度が必要な理由
事務長は一般スタッフと異なり、成果が数字や直接の売上だけでは見えにくいポジションです。
そのため「何を基準に評価されているのか」が曖昧になると、方向性を見失いやすくなります。
評価制度は、事務長本人にとっては成長の道しるべであり、院長にとっては成果確認と改善の基盤となります。
2. 評価項目の設計ポイント
事務長の評価は、大きく「成果」と「プロセス」の両面から行うのが理想です。
(1)成果面
- 売上や利益率の改善
- 人件費率・経費削減など数値面での管理達成度
- KPI達成率(例:予約率、キャンセル率、患者満足度)
(2)プロセス面
- スタッフ定着率の向上
- クレーム対応の適切さとスピード
- 接遇や職場環境改善への取り組み
- 院長方針の現場への浸透度
3. 評価の透明性を高める工夫
- 基準の明文化:評価表やチェックリストを事前に共有
- 定期面談:四半期ごとに進捗と課題を確認
- 自己評価の導入:本人の認識と院長の評価をすり合わせ
このような仕組みを持つことで、事務長は「院長の感覚」ではなく「合意された基準」に基づいて行動できます。
4. 成長支援のアプローチ
評価はゴールではなく、成長のためのスタートです。
(1)研修・学習機会の提供
- 接遇やコミュニケーション研修(スタッフ教育力の向上)
- 経営数値の読み方、分析スキル向上研修
- 法務・労務関連の知識更新
(2)外部ネットワークへの参加
- 医療経営勉強会
- 同業種の事務長交流会
- 地域医療連携の会合
(3)院長との定例戦略ミーティング
- 医院の方向性や課題を共有
- 改善提案を直接フィードバック
- 次の3か月の行動計画を策定
5. 院長が注意すべきポイント
- 評価は感情でなく事実ベースで
- 短期の成果だけで判断しない(長期施策も評価対象に)
- 成長支援はコストではなく投資と捉える
また、これまでのシリーズでも触れてきた通り、任せすぎの放置は危険です。評価制度も「院長が状況を把握している」ことを示す役割を持ちます。
6. 実践を加速させる弊社のサポート
- BSCチェックリストを活用し、事務長の業務範囲やKPIを明確化
- E-Pサーベイで患者満足度を測定し、事務長の改善施策を可視化
- 接遇・ホスピタリティ研修を通じて事務長が院内教育の基準と方法を習得し、日常のスタッフ教育を主導できる体制を構築。
定期的に弊社がフォローアップ研修を行い、基準維持と改善を継続。
これらを組み合わせることで、評価が「数字と行動で見える化」され、成長支援が実効性を持ちます。

まとめ
事務長を長期的に機能させるには、役割に沿った評価制度と継続的な成長支援が不可欠です。
評価は指摘のためではなく、成長の方向性を共有するために行います。
明確な基準と透明なプロセスを通じて、事務長は医院の戦略パートナーとして成長し、組織の安定と拡大を支える存在となります。
次回は「院長と事務長の信頼関係構築術」を取り上げ、日常のコミュニケーションと方針共有の仕組みづくりについて解説します。
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