1つのクリニックを安定して運営できるようになると、次の目標として「分院展開」や「診療科の拡大」を考える院長は少なくありません。
しかし、組織の規模が大きくなるほど、院長一人で全てを管理することは不可能になります。
そこで重要な役割を果たすのが、事務長を中心としたマネジメント体制です。
今回は、事務長を核にして組織を拡大するための戦略と、そのための準備について解説します。
クリニックの事務長シリーズ⑤──事務長を核にした組織拡大戦略
1. 拡大戦略の前提は「本院の安定」
新たな分院や新事業を立ち上げる前に、本院の運営が安定していることが必須です。
- スタッフ定着率が高い
- KPI(予約率・キャンセル率・患者満足度など)が安定している
- 院長が診療以外に割く時間が減っている
これらが整っていない状態で拡大すると、既存の医院の品質低下やスタッフの離職が起きやすくなります。
2. 事務長の役割は「現場統括」から「組織統括」へ
規模拡大に伴い、事務長の役割は1つの現場管理から、複数拠点の運営管理へとシフトします。
- 各拠点の事務担当者や責任者をマネジメント
- 拠点ごとの数値管理と改善提案
- 全体の方針を現場レベルに落とし込み、浸透させる
この段階では、事務長自身が現場作業をする時間は減り、指導・調整・分析・改善提案が中心となります。
3. 標準化が拡大のカギ
拠点が増えると、医院ごとにやり方や基準がバラつきやすくなります。
事務長が中心となって「医院の標準」を明文化することが不可欠です。
- 業務マニュアル(受付、会計、予約管理など)
- 接遇マニュアル(挨拶・電話対応・院内案内など)
- 数値報告フォーマット(毎月のKPI・経営指標)
標準化は品質を揃えるだけでなく、新人教育や評価制度の運用もスムーズにします。
4. 情報と数値で経営を回す
拡大後のマネジメントでは、感覚ではなく数値と事実で判断することが重要です。
- 各拠点のKPIを毎月共有
- E-Pサーベイなどのアンケートで患者満足度を測定
- 改善策は効果測定まで一貫して行う
事務長が数値管理を主導することで、院長は現場に行かなくても現状を把握し、必要な判断を下せます。
5. 拡大時のリスクと回避策
規模拡大には必ずリスクがあります。
- 人材不足:採用計画と育成体制を先に整える
- 管理不行き届き:監査・報告ルールを徹底する
- 理念の希薄化:院長の方針を事務長が繰り返し現場に伝える
任せる範囲が広がるほど、事務長への信頼は重要ですが、同時に監督体制も維持する必要があります。
実践を加速させる弊社のサポート
- BSCチェックリストを活用し、事務長の業務範囲やKPIを明確化
- E-Pサーベイで患者満足度を測定し、事務長の改善施策を可視化
- 接遇・ホスピタリティ研修を通じて事務長が院内教育の基準と方法を習得し、日常のスタッフ教育を主導できる体制を構築。
定期的に弊社がフォローアップ研修を行い、基準維持と改善を継続。
これらを活用すれば、拡大後も品質と組織文化を守りながら、効率的なマネジメントが可能になります。

まとめ
事務長を核にした組織拡大は、院長の負担を減らし、全体の成長スピードを高めます。
そのためには、本院の安定、役割のシフト、標準化、数値管理、リスク対策が不可欠です。
適切なサポートと仕組みを組み合わせれば、事務長は単なる現場管理者から、組織全体を支える経営パートナーへと進化します。
この5回シリーズを通して解説してきた内容を踏まえ、医院の将来像と成長計画を事務長と一緒に描いてみてください。
その第一歩として、弊社のチェックリストや研修・サーベイを活用いただければ幸いです。
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