医院における受付スタッフは、患者さん対応と事務処理の両面を担う大切な存在です。接遇力や正確な業務遂行は、患者満足だけでなく医院の信頼や収益にも直結します。
ところが評価となると「頑張っている気がする」「雰囲気が良い」など感覚的な判断に偏りがちです。その結果、努力が正しく認められず、不満やモチベーション低下につながることも少なくありません。
そこで本記事では、受付スタッフの評価制度をどのように設計すればよいかを解説し、実際に使える評価シートのサンプルもあわせてご紹介します。
受付スタッフの評価制度設計
1. なぜ受付スタッフの評価が重要なのか
受付は医院の「顔」であり、患者さんの第一印象を決める大切な役割を担います。笑顔や言葉遣いはもちろん、予約管理や会計業務など幅広いスキルが求められます。しかし、その評価は感覚的になりやすく、基準が曖昧だと不満や離職の原因となります。
- 初対面の印象が医院全体の信頼感に直結する
- 事務処理や会計はミスが少ないほど患者満足につながる
- 接遇力が高いスタッフはリピート率にも貢献している
受付は単なる「事務員」ではなく、医院経営に大きな影響を与える存在です。だからこそ、公平で具体的な評価基準を整える必要があるのです。
2. 評価項目の設定例
受付スタッフの評価は、業務内容を反映した具体的な項目で構成することが大切です。抽象的な言葉ではなく、観察可能な行動や成果を基準にします。
- 接遇態度:挨拶・表情・言葉遣い・電話応対
- 事務処理能力:会計、レセプト、予約管理の正確さ
- 協調性:チームワーク、情報共有、他部署との連携
- 主体性:改善提案や自発的な行動の有無
- 勤怠・基本姿勢:時間管理、清潔感、規律の遵守
これらを組み合わせれば、スタッフ自身も「どこを改善すれば良いか」が明確になります。評価項目は医院の理念や診療方針に合わせてカスタマイズすることが重要です。
3. 評価シートサンプルの活用
評価制度を実際に機能させるには、シンプルで使いやすいシートが欠かせません。誰が見ても同じ判断ができるように、具体的な行動基準を明記しておくことがポイントです。
- 5段階評価(5=非常に良い、1=改善が必要)
- 項目ごとに観察可能な基準を設定
- 合計点数から総合評価を算出
- コメント欄を設け、定性的なフィードバックを補足
例:
「電話応対」
5=明るく丁寧に対応し、相手の要望を正確に把握している
3=基本的な対応はできているが、丁寧さや正確さにばらつきがある
1=声が暗い、誤解を招く説明が多い
このように基準を明文化すれば、評価が属人的にならず、スタッフの納得感を高める仕組みになります。
4. 給与・処遇への反映
評価を給与や処遇に反映させることで、制度は「形骸化」せずに機能します。例えば、評価結果を昇給基準に組み込む、ボーナスにポイント加算するなどの方法です。ただし、最初から大きな差をつける必要はありません。
小さな加点方式から始め、スタッフが「努力すれば報われる」と実感できる範囲で運用することが望ましいのです。評価と給与がリンクすれば、日々の行動が変わり、医院全体のサービス水準も向上していきます。
5. 院長が気を付けるべき運用ポイント
制度を導入しても、形だけの評価で終わってしまうと信頼を失います。院長が意識すべきは、日々の観察と定期的なフィードバックです。
- 面談を定期的に行い、強みと改善点を具体的に伝える
- 評価理由を説明できるようにして、透明性を確保する
- スタッフの意見も聞き、制度の改善につなげる
- 「できていないこと」より「成長していること」に焦点を当てる
評価はスタッフを追い詰めるためのものではなく、成長とモチベーションを引き出すための仕組みです。安心して取り組める環境を整えることが、制度定着の第一歩となります。

まとめ
受付スタッフは医院の第一印象を決め、経営に直結する重要な存在です。明確な評価項目とシンプルなシートを導入し、処遇と結びつけることで納得感のある制度が実現します。院長が丁寧に運用することで、受付スタッフは自信を持って業務に取り組み、医院全体の成長につながっていくのです。
次回は「有資格者スタッフの評価制度設計」について、スキルやKPIとの連動を中心に具体的に解説します。
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