患者満足度を高めたい──そう考える医院は多いですが、その出発点は実は「従業員満足度」にあります。
スタッフが安心して働ける環境があってこそ、患者さんへの笑顔や丁寧な対応が自然に生まれます。
本シリーズでは、従業員満足度を測る仕組み「eNPS」と、その活用法を解説します。
スタッフの満足が患者体験を変える
従業員満足度が医院経営に直結する理由
「患者満足度を高めたい」と考える医院は多いですが、その前提として欠かせないのが 従業員満足度(ES:Employee Satisfaction) です。
なぜなら、日々患者さんと接するスタッフが「働きにくい」「やる気が出ない」と感じている環境では、自然と対応や雰囲気に影響が出てしまうからです。
医院の成長を支えるのは医療技術だけでなく、「そこで働く人たちの満足度」です。
この点を軽視すると、どんなに優れた治療技術があっても組織としての力は発揮できません。
患者満足度と従業員満足度の相関
「患者はスタッフの鏡」とよく言われます。
スタッフが笑顔で働いている医院では、患者さんも安心して通えます。逆に、不満や疲労を抱えたままの職場は雰囲気が硬くなり、患者さんの体験にも影響を与えます。
実際に、従業員満足度の高い医院ほど口コミ評価や再来院率が高い傾向があります。
「働きやすさ」と「患者に伝わる雰囲気」は、切り離せない関係にあるのです。
離職率の高さが経営に与える影響
人材不足が常態化している医療業界では、スタッフの定着率が経営の安定を左右します。
採用コストや教育コストが増えるだけでなく、経験豊富なスタッフが辞めてしまえば医院の信頼性にも直結します。
- 意見が言いやすい雰囲気
- 成長を感じられる環境
- 公平な評価制度
このような環境を整えることで、給与や休日といった条件面だけでは得られない「働きがい」が生まれ、結果として離職率を下げることにつながります。
eNPSでスタッフの“推奨度”を測る
従業員満足度を測定する方法の一つに、eNPS(従業員ネット・プロモーター・スコア) があります。
「あなたはこの職場を友人や知人に勧めたいと思いますか?」というシンプルな質問で、働きやすさや働きがいを数値化できます。
- 回答は0〜10点で評価
- 9〜10点:推奨者(Promoter)
- 7〜8点:中立者(Passive)
- 0〜6点:批判者(Detractor)
- 推奨者の割合 − 批判者の割合 = eNPS値
一つの数値で「職場の健全度」を把握できるため、改善の出発点として有効です。
データが示す改善の優先順位
調査でスコアが出ても、それをどう解釈するかが重要です。
単に「数値が低いから不満が多い」と片づけてしまっては、改善の方向性を誤ります。
- どの要素がスコアに強く影響しているか
- 批判的な回答が示す具体的な課題は何か
- 改善が患者満足度にどのように波及するのか
こうした分析を行うことで、限られたリソースをどこに集中すべきかが明確になります。
実際の運用では、こうした分析を簡単に行える仕組み(例:E-Pサーベイなど)を活用すると効率的です。
改善の仕組みとBSCの活用
課題を見つけることは出発点にすぎません。重要なのは、それを日々の改善に落とし込む仕組みです。
改善の流れを整理する一例として、BSC(バランス・スコアカード) という枠組みがあります。
- 従業員満足度を改善する
- 内部プロセスの効率化につなげる
- 患者満足度を向上させる
- 財務成果へ結びつける
このように因果関係を整理することで、改善が単発で終わらず医院全体の成長サイクルを生み出せます。
参考程度に取り入れるだけでも、課題解決の道筋が見えやすくなるでしょう。

まとめ
従業員満足度は、患者満足度や経営成果と密接に関わっています。
働くスタッフが前向きに活躍できる環境が、患者に安心感を与え、医院の信頼を支えるからです。
測定や改善の方法はいくつかありますが、重要なのは「感覚ではなくデータに基づいて行動すること」です。
その積み重ねこそが、安定した経営と持続的な成長につながります。
次回は「従業員満足度をどう設計し、実際に測定していくか」をテーマに取り上げます。
eNPSをはじめとした仕組みを用いて、現場に無理なく活かす方法を解説します。
GVのサポートについて
弊社では、医院経営を支える仕組みづくりをお手伝いしています。
- 接遇・ホスピタリティ研修:現場のコミュニケーションを改善し、スタッフの意欲と患者満足度を同時に高めるプログラム
- E-Pサーベイ:従業員満足度と患者満足度を一元的に把握できるアンケートツール
- 経営コンサルティング:医院の成長段階に合わせて、組織づくりや人材育成を継続的にサポート
従業員のやりがいと患者の安心感、この両輪を回すことが安定した医院経営の基盤となります。
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