従業員満足度を測定しても、そのままでは単なる数字にすぎません。
重要なのは「どう読み解き、どの改善に結びつけるか」です。
今回はeNPSスコアと5段階満足度調査(CS分析)を組み合わせ、改善の優先順位を見極める方法を解説します。
分析と改善アクション
測定eNPSスコアの読み解き方
eNPSは職場全体の健全度をシンプルに示す指標です。
推奨者と批判者の割合を見れば、現場の雰囲気や課題の有無を直感的に把握できます。
ただし、スコアの大小だけでは改善の方向性までは分かりません。
- 推奨者率と批判者率のバランスを把握する
- 自由記述から具体的な課題や強みを抽出する
- 数値の変化を短期ではなく長期的に追う
スコアを“温度計”として捉え、背景にある声と合わせて読み解くことが重要です。
5段階満足度調査とCS分析の活用
eNPSは便利ですが「どの要素が影響しているか」を直接は教えてくれません。
そこで5段階満足度調査を組み合わせ、項目ごとの相関関係を分析するのが有効です。
これにより、改善すべき領域と維持すべき強みを数値で判断できます。
- 満足度とeNPSの相関を算出する
- 相関が高く満足度が低い項目=重点改善領域
- 相関が高く満足度も高い項目=強みとして維持
- 相関が低い項目=改善効果は限定的
CS分析を取り入れることで、改善の優先順位を明確に示すことができます。
改善アクションへの落とし込み
分析で優先度が見えたら、現場に落とし込む工夫が必要です。
すべてを一度に変えるのではなく、影響度の高い部分から小さく試すのが効果的です。
改善と検証のサイクルを回すことで、着実な定着が期待できます。
- 高相関かつ満足度の低い要素を重点改善する
- 強みはスタッフと共有し、維持・強化を意識する
- 改善策は小規模に試し、効果を検証する
実行とフィードバックを繰り返すことで、数字が行動に変わり、組織文化が育っていきます。
結果の共有とコミュニケーション設計
数値や分析結果は、共有してこそ改善につながります。
ただ単に数字を並べるのではなく、「強みの称賛」と「課題へのアクション」を分かりやすく伝えることが大切です。
短く、前向きなメッセージとセットで伝えると現場の動きが変わります。
BSCで因果関係を整理する
改善策を単発で終わらせないために、因果の流れを整理することも有効です。
BSC(バランス・スコアカード)は、従業員満足度から財務成果までのつながりを示す“地図”の役割を果たします。
- 従業員満足度の改善 → 内部プロセスの効率化
- プロセス改善 → 患者満足度の向上
- 患者満足度の向上 → 財務成果へ反映
BSCを補助的に使えば、調査結果を戦略的に活かす視点が得られます。
▶BSC(バランススコアカード)については、こちらのまとめからご覧ください。
数字を経営改善へつなげる姿勢
eNPSやCS分析は、従業員満足度を可視化するための手段にすぎません。
本当に重要なのは、数字を「行動」と「文化」に変える姿勢です。
小さな改善の積み重ねが、やがて医院全体の成長を後押しします。
- 数字は出発点であり、ゴールではない
- 共有・称賛・改善を繰り返すことが文化を育てる
- 現場が「参加している」と感じられる工夫が成果を生む
数値の変化を追いながら、改善の手ごたえを積み重ねることこそが、持続的な経営改善の鍵です。

まとめ
本シリーズでは、従業員満足度とeNPSの活用ガイドとして3回にわたり整理してきました。
第1回では「従業員満足度が患者満足度や経営に直結する理由」を明らかにし、第2回では「eNPSを中心とした測定の設計と実施方法」を紹介しました。
そして本稿では、eNPSとCS分析を組み合わせ、改善の優先順位を見極め、具体的なアクションへ落とし込む流れを解説しました。
従業員満足度は単なる数値ではなく、現場の声を映し出す鏡です。
eNPSで健全度を測り、CS分析で課題の焦点を絞り込み、小さな改善を積み重ねることで、組織は確実に成長していきます。
重要なのは「測ること」ではなく、「測った結果を現場と共有し、改善を文化にすること」です。
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