患者満足度を担当スタッフ別に確認すると、評価の高いスタッフと低いスタッフに差が出ることがあります。
このとき、「あの人は接遇が上手だから」「この人はコミュニケーションが苦手だから」と個人の性格や能力だけで判断してしまうと、せっかくのデータを十分に活用できません。
スタッフごとの満足度には、話し方や説明力だけでなく、担当している患者層、診療内容、勤務時間帯、経験年数など、さまざまな条件が影響している可能性があります。
大切なのは、誰が良い・悪いと評価することではなく、「何が評価の差を生んでいるのか」を具体的に分析することです。今回は、スタッフ別の患者満足度を分析するときのポイントについて考えてみましょう。
満足度が高いスタッフと低いスタッフの差をどう分析するか
まずは総合点ではなく項目別に比較する
スタッフ別の満足度を見るときは、総合評価だけで判断しないことが重要です。
- 説明の分かりやすさを比較する
- 話の聞き方を比較する
- 安心感や親しみやすさを見る
- 自由記述の内容を確認する
例えば、総合満足度では差が小さくても、「説明の分かりやすさ」だけ大きな差が出ていることがあります。逆に、説明評価は高いのに「相談しやすさ」が低いスタッフもいるかもしれません。
項目ごとに分解することで、本人の強みと改善すべきポイントが具体的に見えてきます。総合点だけでは、改善につながる情報を見落としてしまいます。
担当している患者さんの違いを確認する
スタッフによって担当する患者層が異なれば、満足度にも差が出る可能性があります。
- 新患と既存患者の割合を見る
- 年代や患者層の違いを確認する
- 担当する診療内容を比較する
- 曜日や時間帯の違いを見る
例えば、あるスタッフは長年通院している患者さんを多く担当し、別のスタッフは新患を多く担当しているかもしれません。この場合、単純に満足度を比較して「こちらのスタッフの方が優秀」と判断することはできません。
できるだけ似た条件で比較し、それでも差が出るのかを見ることが公平な分析につながります。
高評価スタッフの「行動」を分析する
満足度の高いスタッフを分析するときに重要なのは、「人柄が良い」「感じが良い」といった抽象的な評価で終わらせないことです。
例えば、患者さんの話を最後まで聞いている、説明の途中で理解を確認している、患者さんの名前を自然に会話へ入れている、診療後に必ず一言声を掛けているなど、評価につながっている具体的な行動があるかもしれません。
その行動を特定できれば、「あの人だからできる接遇」ではなく、他のスタッフも実践できる方法へ変えることができます。
逆に評価の低いスタッフについても、「接遇が悪い」と決めつけるのではなく、どの場面で評価が下がっているのかを具体化することが重要です。患者満足度調査は、人を評価するためではなく、良い行動を発見して組織全体へ広げるために活用したいものです。
個人評価ではなく組織改善につなげる
スタッフ別データは、使い方を誤ると職場に不信感を生むことがあります。
- 個人を責める材料にしない
- 高評価者の行動を共有する
- 必要な教育や研修につなげる
- 継続的な変化を確認する
「あなたは満足度が低い」と伝えるだけでは、本人を萎縮させるだけで改善につながらないことがあります。重要なのは、「説明項目が他スタッフより低いので、説明方法を一緒に確認しよう」というように、改善可能な行動へ落とし込むことです。
スタッフ別の患者満足度は、順位付けのためではなく、組織全体のサービス品質を高めるためのデータとして活用することが大切です。

まとめ
満足度が高いスタッフと低いスタッフに差があったとしても、それだけで個人の接遇力を評価することはできません。患者層や診療内容、担当時間帯などの条件を確認しながら、項目別に違いを分析する必要があります。
そのうえで、高評価スタッフが実際にどのような行動をしているのかを見つけることが重要です。優れた行動を具体化して共有できれば、個人の能力を組織全体の標準へ変えることができます。
患者満足度調査はスタッフを順位付けするためのものではなく、患者さんから評価される行動を発見し、医療機関全体の品質向上につなげるために活用しましょう。
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