スタッフ間の対立は、どの医院でも起こり得るものです。価値観・立場・経験年数の違いがある以上、意見の衝突そのものをゼロにすることはできません。
しかし、問題なのは「対立が起きること」ではなく、「対立が放置されること」です。放置された対立は、雰囲気の悪化、生産性の低下、患者様への対応品質の低下へと直結します。一方、適切に介入できる医院では、対立がむしろ組織成長のきっかけになります。
本記事では、スタッフ間の対立が起きたときに、院長・リーダーが取るべき介入の考え方と具体策を整理します。
スタッフ間の対立が起きたときの介入方法
1. 介入の第一歩は“事実と感情を切り分ける”こと
対立が起きた直後にありがちなのが、「どちらが悪いか」を急いで判断してしまうことです。しかし、感情が高ぶった状態での判断は、火に油を注ぐ結果になりがちです。まず必要なのは、事実と感情を分けて整理する姿勢です。
- 何が起きたのか(事実)を時系列で確認する
- それぞれがどう感じたか(感情)を丁寧に聴く
- 評価・正誤判断をすぐに入れない
- 「事実確認」と「感情整理」を別フェーズで行う
この切り分けができると、介入は冷静になります。感情を受け止めるだけでも、対立は一段落します。
2. 個別対応と同席対応を“使い分ける”判断軸
対立対応で重要なのは、「最初から同席させない」ことです。感情が残った状態での直接対話は、対立を深めるリスクがあります。まずは個別に話を聴き、その後必要に応じて同席の場を設けます。
- 初期は必ず個別ヒアリングから始める
- 相手の悪口をそのまま伝えない
- 共通点・ズレのポイントを整理する
- 同席は“整理後・合意形成目的”で行う
段階を踏んだ介入が、関係修復を可能にします。急がないことが、最短ルートになることも多いのです。
3. 対立の裏にある“構造的原因”を見逃さない
スタッフ間の対立は、個人同士の問題に見えて、実は仕組みの問題であることが少なくありません。
役割が曖昧、責任範囲が重なっている、評価基準が不透明、業務負荷が偏っているなど、構造的な歪みが感情的対立として表面化します。表面的な仲直りだけで終わらせると、形を変えて再燃するのが特徴です。
対立が起きたときこそ、「この医院のどこに無理があるのか」を見直す重要なサインと捉える必要があります。
構造に手を入れることで、同じ対立は起こりにくくなります。対立は“問題”ではなく“改善材料”です。ここに目を向けられるかどうかが、組織の成熟度を分けるポイントになります。
4. 介入のゴールは“仲良くさせること”ではない
介入の目的を「仲良くさせること」と誤解すると、無理な和解を強要してしまいます。本来のゴールは、「業務上、協力できる状態を回復すること」です。感情の一致ではなく、行動の合意を目指します。
- 業務上の役割・期待行動を再確認する
- 守るべきルールを明確にする
- 合意事項を言語化・記録する
- 必要なら距離を保つ選択も認める
協力関係が戻れば、感情は後から整います。現実的なゴール設定が、再発防止につながります。

まとめ
スタッフ間の対立は、避けるものではなく、正しく扱うべき組織課題です。
事実と感情を切り分け、段階的に介入し、構造的原因に目を向けることで、対立は組織改善のきっかけになります。重要なのは、誰かを裁くことではなく、チームとして前に進める状態を取り戻すことです。
対立対応の質は、そのまま医院のマネジメント力を映し出します。冷静で公平な介入ができる組織ほど、信頼が積み重なり、スタッフは安心して働けるようになります。
対立を恐れず、成長の材料として扱える医院こそ、長期的に強い組織へと進化していきます。
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