【第2回】BSCの実行ステップ全体像

~経営戦略を「仕組み」に変える7つのフェーズ~

はじめに

前回の記事では、BSC(バランススコアカード)がなぜ医療機関の経営に有効なのか、その基本的な考え方についてお伝えしました。
今回はそれをさらに一歩進め、実際にどのようなステップでBSCを導入・運用していくのか、全体像をわかりやすく整理していきます。


BSC導入の目的は「戦略の実行力」を高めること

そもそもBSCは、「戦略を立てること」ではなく、「戦略を組織として実行するための仕組みづくり」を目的としています。
つまり、BSCとは 「理念→戦略→行動」までをつなぐ一連の流れを整えるプロセス とも言えます。


目次

医療機関がBSCを導入する場合、以下の7つのステップを順に進めることで、ビジョンの共有と実行力のある組織づくりが可能になります。


【STEP1】ビジョンと目的の明確化

まず最初に行うべきは、医院としての中長期的なビジョンや目指す姿を明確にすることです。
「どんな組織でありたいか」「どのように選ばれる医院になるか」といった視点から、経営者としての方向性を言語化します。


【STEP2】SWOT分析による現状把握

次に、現在の組織の強み・弱み・機会・脅威を洗い出す「SWOT分析」を実施します。
ここでのポイントは、現場のスタッフの声も取り入れながら、多面的に現状を捉えることです。


【STEP3】戦略課題の抽出

ビジョンと現状とのギャップを埋めるために、戦略的に解決すべき課題(戦略課題)を設定します。
この段階では、「患者満足度を高めるには?」「業務効率を改善するには?」といったテーマが挙がってきます。


【STEP4】戦略マップの作成

次に、抽出した戦略課題を4つの視点(財務/顧客/業務/人材)に分類し、因果関係を整理して1枚の図にまとめます。
これが「戦略マップ」と呼ばれるもので、スタッフ全員に戦略を伝えるための強力なツールとなります。


【STEP5】重要成功要因(CSF)の設定

戦略マップをもとに、「この戦略を成功させるために最も重要な要素は何か?」を明確にします。
たとえば、「理念共有の仕組み」「接遇力の強化」「スタッフの意欲向上」など、戦略実現の“カギ”となる要素を特定します。


【STEP6】KPI(業績評価指標)の設計

続いて、それらの成功要因を 数字で測定できる指標(KPI) に落とし込みます。
ここでは「再来院率」「自費比率」「予約キャンセル率」「満足度スコア」などが使われます。
KPIはあくまで「手段」であり、戦略の進捗を見える化する役割を担います。


【STEP7】目標設定とアクションプランの策定

最後に、設定したKPIに対して具体的な数値目標と、実行するアクションプランを策定します。
「誰が、いつまでに、何をやるか」を明確にし、戦略を行動に変えるフェーズです。


このステップがあるから「絵に描いた餅」にならない

戦略という言葉がどれだけ立派でも、スタッフが行動に落とせなければ、何も変わりません。
BSCの実行ステップは、単なる理念や方針を、現場の日常業務にまで結びつける“橋渡し”の設計図なのです。


今回ご紹介した7ステップを踏むことで、医院全体が同じ方向を向き、数値だけに頼らないバランスの取れた経営が可能になります。
BSCは決して難しい手法ではなく、むしろ「想いを仕組みに変える」非常に実践的な方法です。


次回予告

次回は【第3回:SWOT分析とは?】として、現状把握の起点となる分析手法について、院内での活用方法や具体例を交えて解説します。戦略立案の質を高めるためにも、SWOT分析はBSC導入における基盤の一つとなります。


すでに目標やKPIを設定している医院にも、改めて見直すヒントになるはずです。

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