【第3回】SWOT分析とは?

~戦略を始める前に、まず「今」を知る~

はじめに

BSC(バランススコアカード)を活用した戦略構築は、「将来どうありたいか」を描くことから始まりますが、それと同じくらい重要なのが「現状を正しく理解すること」です。
理想と現実のギャップを見つけ、戦略課題へとつなげるには、客観的な現状分析が欠かせません。

そこで活用されるのが「SWOT分析」です。今回は、BSCの実行ステップにおけるSWOT分析の役割と、医療機関での実践方法をわかりやすくご紹介します。


目次

SWOT分析とは、以下の4つの視点で組織を分析するフレームワークです:

項目 内容 医療機関の例
S:Strength(強み) 他院より優れている要素 スタッフの接遇力、院長の技術、駅近、口コミ評価
W:Weakness(弱み) 改善の必要がある内部要素 教育体制の未整備、離職率の高さ、理念の不浸透
O:Opportunity(機会) 外部のプラス要因 周辺人口の増加、自費診療ニーズ、補助金制度
T:Threat(脅威) 外部のマイナス要因 競合医院の出現、スタッフ採用難、制度改定

これらを総合的に把握することで、「どこに注力すべきか」「何を避けるべきか」といった戦略判断がクリアになります。


なぜSWOT分析が重要なのか?

たとえば、「今後は予防歯科に注力したい」と考えたとしても、自院にその基盤(教育体制・専門人材・広報力など)が整っていなければ、絵に描いた餅に終わってしまいます。
また、競合医院が同じエリアに開院したという脅威も、「自院の強み」と掛け合わせることで「選ばれる医院になるチャンス」に変えることができます。

SWOT分析は、そうした戦略的な思考の起点になります。


医療機関におけるSWOT分析の進め方

院長だけで完結させない

SWOTは経営者の視点だけでなく、現場のスタッフのリアルな声を取り入れてこそ意味があります。
たとえば「理念が浸透している」と思っていても、スタッフに聞いてみると「共有された覚えがない」ということもあります。

② SWOTマトリクスで可視化する

4象限のマトリクス形式で「見える化」すると、組織としての構造的な傾向がわかりやすくなります。
また、チームミーティングの資料や戦略マップの土台としても活用できます。

評価や感覚で終わらせない

「〇〇が強み」「〇〇が弱み」だけで終わると、次につながりません。
「なぜそれが強みなのか?」「どう活かせるのか?」まで掘り下げることで、戦略に変換しやすくなります。


SWOTがつながる次のステップ

BSCでは、SWOT分析で得られた情報を「戦略課題」に結びつけていきます。
たとえば「理念が伝わっていない(W)」であれば、「理念浸透の仕組みづくり」が戦略課題になります。
「スタッフ教育制度がない(W)」→「人材育成の強化」など、具体的な課題設定に自然とつながるのです。


よくある誤解と注意点

  • SWOTは一度やれば終わり、ではない
     環境の変化や組織の成長に合わせて、半年~1年ごとに見直すのが理想です。
  • 脅威(T)にとらわれすぎない
     マイナス要素にばかり注目すると、戦略が“守り”に偏ってしまいます。強みと機会に目を向けることも大切です。

SWOT分析は、戦略マップやKPI設定といった「攻めの設計図」を描く前に行う、組織を見つめ直す鏡のようなものです。
一見シンプルな手法ですが、きちんと実施すれば、医院の「思い込み経営」から脱却する大きなヒントになります。


次回予告

次回【第4回】では、SWOT分析を踏まえて「戦略課題をどう抽出するか」、そしてそれを1枚の戦略マップにどう落とし込むかを詳しくご紹介します。

▶ 続いて【第4回:BSC(バランススコアカード)による戦略課題の抽出と戦略マップの作成】を見る
▶ 一度、【第2回:BSCの実行ステップ全体像】に戻る

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