多くの院長は、数字を軽視しているわけではありません。
売上や患者数、スタッフ数など、最低限の数字は把握しながら経営を行っています。それでも、「細かい数字までは見ていない」「現場感覚で何とかしてきた」という院長は少なくありません。
診療に真剣に向き合い、患者やスタッフの様子を肌で感じながら判断してきた経験は、これまで医院を支えてきた大きな強みです。しかし、医院の規模が大きくなり、人が増え、業務が複雑になるにつれて、その強みだけでは判断を誤りやすくなります。
本記事は、数字を見ないこと自体が問題なのではなく、数字を見ない状態で判断を続けると、なぜ経営判断がズレやすくなるのかを構造的に整理することを目的としています。
数字を見ない院長ほど経営判断を誤る理由
1.感覚と現実のズレに気づきにくくなる
数字を見ない経営では、判断の拠り所が感覚になります。忙しさ、現場の雰囲気、スタッフの声。これらは重要ですが、すべて主観的な情報です。感覚は日々の出来事に左右されやすく、全体像を正確に映しません。
- 忙しい=利益が出ていると思い込む
- 不満が少ない=経営が安定していると判断する
- 売上が高い月を基準にしてしまう
- 一時的な出来事を過大評価する
数字を見ないと、感覚と現実のズレが少しずつ広がっていきます。そのズレに気づかないまま判断を重ねることで、「頑張っているのに結果が伴わない」という状態が生まれます。誤りは突然起きるのではなく、静かに積み重なっていきます。
2.問題が表面化した時には選択肢が減っている
数字を見ていない医院ほど、問題に気づくタイミングが遅れます。利益率の低下、人件費の膨張、資金繰りの圧迫。これらは、数字を追っていれば早い段階で兆候として現れます。
- 忙しくなってから人件費が気になる
- 資金が減ってから採用を止める
- 不満が噴き出してから制度を考える
- トラブル後に原因を探し始める
問題が顕在化した段階では、取れる選択肢はすでに限られています。数字を見ない経営は、「判断を誤る」というより、「判断できる余地を自ら狭めている」状態に近いと言えます。
3.院長の判断が一貫しなくなる
数字がない状態では、判断基準が曖昧になります。その結果、院長自身の判断が場面ごとに変わりやすくなります。昨日は認めたことを今日は否定する。前回はOKだった判断が今回はNGになる。
こうした揺れは、院長の性格や意思の弱さではありません。判断の裏付けとなる共通の指標がないために起きる現象です。数字は判断を縛るものではなく、判断を安定させる軸です。
軸がない状態では、判断はどうしてもブレやすくなります。
4.数字を見ないことで経営が属人化する
数字を見ない経営では、判断の根拠が院長の頭の中にしか存在しません。その結果、院長以外は経営の意図を理解しづらくなり、相談や確認がすべて院長に集中します。
- 判断理由が共有されない
- スタッフが判断を避ける
- 院長待ちの場面が増える
- 経営がブラックボックス化する
数字を共有することで、経営は初めて「個人」から「組織」に移行します。数字を見ない状態が続くほど、院長は現場と経営の両方に縛られやすくなります。

まとめ
数字を見ない院長が経営判断を誤る理由は、数字が苦手だからではありません。感覚と現実のズレに気づけず、問題の発見が遅れ、判断基準が曖昧になり、経営が属人化していく。この連鎖が静かに進むからです。
数字を見ることは、現場を否定することではありません。むしろ、現場で感じている違和感や不安を言語化し、判断を支えるための道具です。売上だけでなく、利益、人件費率、資金繰り、生産性といった数字を定点で見ることで、院長の判断は軽くなります。
数字を見始めた瞬間に経営が劇的に良くなるわけではありません。しかし、数字を見ないまま判断を続ける限り、誤りのリスクは確実に高まります。
経営判断を誤らないために必要なのは、特別な分析力ではなく、「見るべき数字を継続して見る姿勢」です。
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