京セラ創業者であり、JAL再建でも知られる稲盛和夫氏。
その著書『生き方』は、経営書でありながら“人としてどう生きるか”を問う哲学書です。
「動機善なりや」「利他の心を持て」という言葉は、単なる倫理ではなく、
経営やリーダーシップの根幹をなす原則といえます。
医院経営においても、数字や効率だけでは人は動きません。
働く意味、貢献の喜び、使命感――これらを共有できたとき、組織は自然と一つにまとまり、強いチームになります。
『生き方』― 利他の精神と働く意味を問い直す ―
1. 「利他の心」で判断する
稲盛氏の哲学の中心にあるのが、“利他”の精神です。
「人として正しいことを貫けば、必ず道はひらける。」
リーダーの判断は、利己ではなく“みんなの幸せ”を基準にすべきという教え。
医院でも、短期的な利益よりも「患者・スタッフ・地域」への誠実さを優先すれば、
結果的に信頼が集まり、経営も安定していきます。
利他の精神とは、「自分の得より、相手の喜びを選ぶ」生き方。
それが最終的に、自分と組織を幸せにする道なのです。
2. 働くとは「人間を磨くこと」
稲盛氏は“仕事は人を成長させるための修行”と述べています。
成果よりも、「どう向き合い、どれだけ真摯に努力したか」が重要です。
医院における仕事も同じ。
- 患者への一つの声かけ
- ミスの報告や改善への姿勢
- 同僚を思いやる一言
こうした日常の小さな積み重ねが、働く人を磨き、医院を成長させます。
働く意味を“生活のため”から“人間としての成長の場”へと変えることで、
スタッフのモチベーションは根本から変わります。
3. 「心を高め、経営を伸ばす」
稲盛氏は、「心を高めることが、経営を伸ばす最善の道」と説きました。
経営の成功は戦略ではなく、リーダーの心のあり方から始まります。
リーダーが誠実で、感謝を忘れず、正しい動機で判断する。
それだけで、スタッフは自然と信頼し、協力してくれます。
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば結果が変わる。」
この一節は、医院経営のすべてに通じる真理です。
4. 医院経営に活かす『生き方』の哲学
稲盛氏の教えを医院経営に置き換えると、次のように整理できます。
- 利他の精神で判断する(誰のために決断するかを明確に)
- 仕事を通じて人間性を磨く(成果より成長を重視)
- 心の姿勢を整える(感謝・誠実・謙虚さが医院の文化になる)
この3つを実践する医院は、自然と「信頼」と「安定」を得ていきます。

まとめ
『生き方』は、経営や働き方の根底にある“心の原理”を教えてくれる書です。
リーダーが利他の心を持ち、誠実に努力を重ねる姿勢こそ、
スタッフを動かし、医院を長く繁栄させる最強のリーダーシップです。
経営とは、数字の戦いではなく“心の修行”。
心を磨き、人を想い、誠実に歩むことが、最も尊い「生き方」なのです。
次回は『私の世界観』(アインシュタイン)を取り上げ、創造と論理のバランスに学ぶ、知性あるリーダー像を考えます。
▶院長・リーダーが読むべき世界の名著シリーズ:まとめページに戻る
無料リソースのご案内
医院のリーダーシップやスタッフ育成を支える仕組みとして、
「接遇5原則チェックシート」と「BSCチェックリスト(75%公開版)」を無料提供しています。
理念の実践を“測定・改善”の仕組みに変える第一歩として、ぜひご活用ください。
下記から請求をお願いします。
▶BSC(バランススコアカード)については、こちらのまとめからご覧ください。
▶ 「経営戦略」カテゴリの関連記事を探す
▶ カテゴリ検索・人気記事などコラムのトップへ戻る
グロースビジョンでは読み物として得た知見を、実際の医院改善に活かすための【無料ツール・サポート】をご用意しています。
先生の大切な1歩を支援します。お気軽にどうぞ。
接遇5原則チェックシート
接遇の基準をシンプルに可視化。
院内研修や個別指導に活用
満足度調査ツール 半年無料
満足度と改善点を数値化できる
E-Pサーベイが半年無料
BSCチェックリスト
医業収入UPの戦略マップづくりに
無料でも75%公開してます

