医院経営において、最も限られている資源は「院長の時間」です。
診療、スタッフ対応、トラブル対応、経営判断。どれも重要であり、優先順位をつけにくいのが実情です。多くの院長は、自分の時間を削りながら医院を支えてきました。
しかし、医院の規模が大きくなるにつれて、院長の時間の使い方そのものが経営に与える影響は急激に大きくなります。時間が足りないことが問題なのではなく、どこに時間を使っているかが経営の安定度を左右します。
本記事は、院長の時間配分がどのように医院経営へ影響するのかを整理し、なぜ時間の使い方を見直す必要があるのかを構造的に解説することを目的としています。
院長の時間の使い方が医院経営を左右する
1.緊急度の高い仕事に時間が奪われ続ける
院長の時間が足りなくなる最大の理由は、緊急度の高い仕事に常に引き戻されることです。トラブル対応、急な欠員、現場調整。これらは放置できないため、どうしても優先されます。
- 緊急対応が日常化する
- 判断が後追いになる
- 重要だが急ぎでない仕事が残る
- 経営課題が先送りされる
この状態が続くと、院長の時間は「今を回すため」だけに使われます。本来、経営を安定させる仕事ほど緊急ではありません。そこに時間を割けないことが、経営停滞の入口になります。
2.診療と経営の切り替えができていない
多くの院長は、診療と経営の両方を担っています。しかし、この二つは求められる思考の質がまったく異なります。診療は目の前の患者に集中する仕事であり、経営は全体を俯瞰して考える仕事です。
- 診療の合間に経営判断をする
- 判断が断片的になる
- 中長期の視点が持てない
- 決断に迷いが生じる
診療に時間を使うこと自体は悪いことではありません。ただし、経営の時間が診療に侵食され続けると、経営は確実に後手に回ります。時間を分けることは、役割を分けることでもあります。
3.院長がやらなくていい仕事を抱えている
院長の時間が不足している医院では、院長が本来やらなくてもよい業務を多く抱えています。現場が回らない、任せきれない、基準が曖昧。その結果、院長が細部まで関与することになります。
この状態では、院長の時間は細切れになり、経営として考える余力が失われます。時間の問題ではなく、役割設計の問題です。院長の時間を空けるには、任せる勇気ではなく、任せられる仕組みが必要です。
4.時間の使い方が組織にそのまま伝わる
院長の時間の使い方は、無言のメッセージとして組織に伝わります。何に時間を使っているかは、医院が何を大事にしているかを示します。
- 経営の話が後回しになる
- 改善より対処が優先される
- 忙しさが評価される
- 戦略的思考が育たない
院長が経営に時間を使っていない医院では、スタッフも経営的視点を持ちにくくなります。逆に、院長が意図的に経営の時間を確保している医院では、組織全体の判断の質が上がります。
5.考える時間があっても「考え方」が分からない
経営を考える時間を確保できない理由は、忙しさだけではありません。実際には、時間を取ったとしても「何を」「どの順番で」「どう考えればよいのか分からない」という状態に陥っている院長は少なくありません。
経営は診療と違い、正解が明確に示されるものではありません。数字、人、仕組み、将来像。考える対象が多く、視点も抽象的になります。その結果、考え始めても整理できず、「今日はここまで」と手放してしまいます。
- 考えるテーマが漠然としている
- 判断の軸が言語化されていない
- 優先順位をつけられない
- 結論が出ず疲れてしまう
この状態では、経営の時間は「成果が出ない時間」になりやすく、無意識に避けられるようになります。だからこそ必要なのは、時間そのものではなく、考える順序と視点を持つことです。考え方が整理されて初めて、経営の時間は意味を持ち始めます。

まとめ
院長の時間の使い方は、単なる個人の問題ではなく、医院経営そのものに直結しています。緊急対応に追われ、診療と経営が混在し、任せられない仕事を抱え、時間の使い方が組織に影響を与える。
この構造が続くと、経営は確実に停滞します。
重要なのは、時間を増やすことではありません。院長がやるべき仕事を明確にし、経営に使う時間を意図的に確保することです。その時間が、判断の質を上げ、組織を安定させます。
忙しさが続いているなら、それは能力不足ではなく、時間配分を見直すべきサインです。院長の時間の使い方を変えることが、医院経営を次の段階へ進める起点になります。
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