「治療内容は医師が説明するものだから、スタッフは詳しく知らなくてもよい」と考えていないでしょうか。
もちろん、診断や医学的な判断、治療・施術に伴うリスクなど、医師が責任を持って説明すべき内容があります。
しかし、患者さんが自費診療について考える場面は、医師から説明を受けている時間だけではありません。
受付で費用について質問したり、スタッフとの会話の中で不安を口にしたり、「先ほど先生から聞いた話がよく分からなかった」と相談したりすることもあります。
そのとき、スタッフが自費診療についてほとんど理解していなければ、せっかく患者さんが興味を持っていても、十分な情報を得ることができません。
今回は、自費診療においてスタッフの説明力が重要になる理由について考えてみましょう。
自費診療でスタッフの説明力が重要になる理由
患者は医師にすべてを質問できるとは限らない
医師から説明を受けた患者さんが、その場ですべての疑問を質問できるとは限りません。
- 費用について聞きにくい
- 説明を途中で止めて質問できない
- 後から疑問が出てくる
- スタッフの方が話しやすいこともある
診療室では「分かりました」と答えていても、受付や別のスタッフには「実際にはどのくらい費用がかかるのでしょうか」「皆さんはどちらを選ぶことが多いですか」などと質問することがあります。
こうしたときにスタッフが適切に対応できれば、患者さんが抱えている疑問や不安を解消するきっかけになります。
スタッフの一言で患者を迷わせることもある
医師が丁寧に自費診療について説明していても、その後のスタッフの対応によって患者さんが迷ってしまうことがあります。
- 医師とスタッフの説明内容を合わせる
- 自費診療の基本的な特徴を理解する
- 費用や流れを正しく案内する
- 分からないことは医師へつなぐ
例えば、患者さんから質問されたスタッフが「自費は高いですからね」「保険でも十分だと思いますよ」と個人的な価値観で答えてしまえば、医師が行った説明とは違うメッセージを患者さんへ与えることになります。
反対に、自費診療を強く勧めることも適切ではありません。
スタッフに求められるのは、自費診療を売ることではなく、医院として決められた情報を正しく伝え、必要に応じて医師へつなぐことです。
患者に合わせて分かりやすく言い換える力が必要
説明力というと、たくさんの専門知識を持ち、詳しく話せることだと思われがちです。
しかし、患者さんへの説明で重要なのは、知識量だけではありません。
患者さんが何を理解できていないのかを確認し、その人に分かる言葉へ置き換えて伝える力も必要です。
例えば、専門用語をそのまま繰り返すのではなく、「簡単にいうと、このような違いがあります」と整理する。複数の選択肢で迷っているのであれば、「何を一番重視されていますか」と聞いてみる。
そして、スタッフの判断では答えられない内容については、無理に説明せず医師へ確認する。
説明力とは「上手に自費診療を勧める力」ではなく、「患者さんが理解できていない部分を見つけ、必要な情報へつなげる力」でもあります。
スタッフの説明力は個人任せにしない
説明力が重要だからといって、「もっと上手に説明してください」とスタッフへ求めるだけでは改善しません。
- 自費診療について院内で勉強する
- 説明資料を共通して使用する
- よくある質問への回答を共有する
- 説明してよい範囲を明確にする
特に重要なのが、「スタッフがどこまで答えてよいのか」を決めておくことです。
費用や一般的な流れなどスタッフが説明できる内容と、医学的な判断など医師へ確認すべき内容を明確にしておけば、スタッフも安心して患者さんからの質問に対応できます。
また、患者さんからよく聞かれる質問を院内で共有し、どのように答えるかを確認することも有効です。
説明が上手なスタッフだけに頼るのではなく、医院全体として一定の説明ができる仕組みを整えることが重要です。

まとめ
自費診療では、医師による説明が重要なのはもちろんですが、患者さんと接するスタッフの説明力も患者さんの意思決定に影響します。
患者さんは医師には聞けなかったことをスタッフへ質問することがあります。そのとき、スタッフが自費診療について基本的な知識を持ち、分かりやすく説明できれば、患者さんは選択肢についてさらに理解を深めることができます。
ただし、スタッフの役割は自費診療を売ることではありません。
何を説明できるのか、何を医師へ確認するのかという役割を明確にし、患者さんが必要な情報を得られるよう支援することが大切です。
自費診療の説明力は、一部のスタッフだけに必要な営業スキルではありません。患者さんが自分に合った選択肢を理解し、納得して判断するために必要な医院全体のコミュニケーション力です。
一度、自院のスタッフに患者さんのつもりで自費診療について質問してみてください。誰に聞いても基本的な内容を分かりやすく説明し、必要な場合には適切に医師へつなげる状態になっていますか?
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